山獄小説
□真夏の夜の夢
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瑠璃が寝入ったことを確認して、そっとベッドを抜け出した。
あどけない寝顔は昔のアイツそっくりで、胸が苦しくなった。
その額にそっとキスを落とす。
「早く大きくなってくれよ」
そう囁いて、もう一度リビングへ戻った。
既に酒とつまみの用意がされていて。
久しぶりにツナと差し向かいで飲み始めた。
「さっきの話。本気だから」
上等なワインを飲みながらのたわいない昔話の途中で、唐突に話す。
「瑠璃との結婚?」
「そう。瑠璃が16になったら迎えに来る」
「ば、何言ってる。瑠璃はまだ6歳だぞ?お前ロリコンだった「イイよ」え?十代目?」
当然のように食ってかかる獄寺と対称的にツナが冷静にそう言った。
「いいのか?」
「但し、16歳になった瑠璃が山本を選んだらね。
でもライバルは多いよ?がんばってよね」
にっこりと笑って。
「もちろん、負けねぇよ」
「それから。俺達の娘を不幸にしたら承知しない」
口元は笑っているが目は真剣で。
「当たり前だろ?」
誰よりも愛している。
誰よりも幸せにしてみせる。
グラスをカチンと合わせながら、神より怖い二人に誓った。