思いつくままの妄想小説

□学園ハニー
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キャッチボールもノックも好きだけれど、
やっぱり一番楽しいのはフリーバッティング。
山本の被打球に合わせたフェンスは今や、かなり上の方まで付け足されている。
それを良いことにかなり本気で打ち込むことができた。


調子がいいのか、悪いのか。
山本が渾身の力で打ったボールは真っ直ぐに飛ばず、フェンスに当たるべきところがポ−ルに当たってしまった。

「うわっ!!やべぇ」

コースを大きく外れ、外に飛び出してしまったのである。
おまけに飛んでいった方向にあるのは、
幼稚園から大学まで一貫教育されている超エリートのお嬢様学校「キャバッローネ女学院」


お嬢様達にカケラほどの害を与えないように、登下校時には高級外車が軒を連ね、
入り口にガードマンが常駐していて、許可無くしては何人たりとも入ることは敵わない。


「・・・どーしよー」


それを見ていた野球部の顧問は思わず溜息をついた。

「・・・仕方ない。後で先生が向こうの先生に連絡しておく。今日の練習はココまで」

「「ありがとうございました!!」」


レギュラーとは言え、まだ一年である山本は皆と同じように雑用がある。
グランドにトンボをかけながら正直かなり落ち込んでいた。

というのも以前にもあの学校にボールを飛ばしてしまい、かなり責められたのだ。
自分でなく、顧問と校長が。
なんでも、女子生徒のすぐ横に落ちたらしい。
幸い驚いただけでケガがなかったため、フェンスを付けると言うことで許して貰えたのだが。
そうでなければ賠償責任なんてことにもなっていたらしい。

今は夏休みで生徒もそう多くはないだろうが、最悪の事態を想像して凹んでしまう。
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