思いつくままの妄想小説

□学園ハニー 3
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「な、ちょっと待てって」
ずんずんと早足で歩いていく獄寺の腕を掴んで止まらせる。
焦ってしまったのか、思いの外強い力で掴んでしまったのだろう。

「っつ!」
痛みに顔を顰めるのに慌てて離した。

「あ、わりぃ」
「何のようだよ」
捕まれた腕をさすりながら睨み付けてきた。

行く手を塞ぐように正面に立ち、彼女を見つめる。
この間は分からなかったが、翡翠色の吸い込まれそうなほど綺麗な瞳。

真っ直ぐに見返してくるその瞳の強さにますます心奪われる。

「夕飯、一緒に食わねぇ?俺オゴるし」
「お断りだ」
「そう言わないでさ。こないだのお礼とお詫びと今日の補習のカテキョ代ってことで」

「別に今日のは沢田さんに頼まれたからだ。テメェが来てるなんて知らなかったし」
「んじゃ、助けてくれたお礼と怒らせちゃったお詫び。な?」


このチャンスを逃したら二度とないかもしれない。
彼女の両肩を掴み、顔をのぞき込みながら"お願い"を繰り返す。
知らないうちに再び力が入ってしまったんだろう。
彼女の手が山本の腕を叩いて離すように促す。


「ちょ、いてぇって。離せよ、わかったから」
「マジ!?」
「行きゃいいんだろ?で?どこへ連れてってくれるわけ?」

「やった!サンキュ」
そういって、山本は獄寺の手を掴んで歩き出した。

「お、おい。手ぇ離せよ」
「いいじゃん。別に」
「よくねぇよ!恥ずいだろーが!!」

これ以上怒らせることも憚られて仕方なく手を離した。
不機嫌そうな顔も、頬を赤く染めていては可愛いだけで。
にやけてしまいそうな顔を必死で押さえながら山本は家に向かった。




to be continued
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