思いつくままの妄想小説

□学園ハニー 4
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「おまえさぁ、これは奢るって言わないだろ」
獄寺は、呆れたように言った。


連れて行かれた先は山本の父親が経営するという寿司屋兼自宅。
"食べさせてくれる"のは事実かもしれないが、山本が奢ることにはなっていない。

「あ.はは、やっぱダメ?今月新しいゲームソフト買っちゃって小遣いねぇんだ」
頬を掻きながら笑ってごまかす。

「・・・別にいいけどな」
「来月、ちゃんと約束守るから」
「何時約束なんてしたんだよ」

まるで次もあると言いたげな山本の言葉に戸惑いを隠せない。


まだ開店前ということもあり、客は誰もいなかった。

寿司屋のカウンターに初めて座ったのだろう、
落ち着かなげにソワソワしている彼女に山本の父が嬉しそうに話しかけた。

「武が世話になったそうだな、有り難うよ。ま、遠慮しねぇでどんどん食ってくんな」
「有り難うございます」
「あ、獄寺食えないモンとかある?親父に任せちゃってイイ?」
「別に嫌いなモンとかねぇし。お薦めでイイよ」
「嬉しいねぇ。んじゃ、今日のお薦めは...」


次々に出される寿司を食べてくれる獄寺に、山本は嬉しくて仕方がない。
まさかこんなに早く彼女と知り合いに慣れるなんて思わなかった。

「ツナに感謝しなくちゃだな」
「ん?何か言ったか?」

思わず呟いた言葉に、小首を傾げて聞いてきた。
慌てて何でもないと答えながら自分も父親の作った寿司を頬張っていった。
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