思いつくままの妄想小説

□学園ハニー 5
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「あの、これはどういうことですか?」

スポーツ観戦ということもあってか、カジュアルではあるものの、とても可愛らしい格好だった。
制服以外でスカートなど履いたことのない獄寺は、かなり戸惑っている。

しかし、嬉々として着替えさせている奈々に、文句など言えるわけはなかった。

「やっぱり!隼人ちゃん、すっごく可愛いわ!私のセンスも捨てたモンじゃないわねぇ」
「あ・・の。お母様?」
「出来たの?母さん」
「見て!可愛いでしょ?こーんな可愛い子と歩けるなんて、この果報者!」

確かに、今まで獄寺を「女の子」としてみていなかった沢田でさえ、ドキッとするほどだ。
自分が獄寺を連れていったら他の奴らがなんと言うだろうか?
密かにそんな心配をしつつ、「山本、喜ぶだろうな」などと考えていた。


「それじゃ、行ってきます」
「二人とも、気をつけてね」

荷物は自分が持つと言ってきかない獄寺に、「女の子にこんなモン持たせたら俺の立場がない」
と言って、無理矢理奪い取るという一悶着もあったが、奈々に見送られて学校のグラウンドに向かった。



「あの、沢田さん。訳を聞かせていただいて良いですか?」

やっぱきたか。なんて言おうかずっと考えていたツナは、一応奈々の勘違いについて説明することにした。


「獄寺君と一緒に山本の試合見に行くって行ったら母さん、勘違いしちゃってさ」
「勘違い・・・ですか?」
「そう。獄寺君が、前回の勉強会で山本に好意を持ったって。
 ほら獄寺君って、あんまり知らない人と喋ったりしないでしょ?
 でも山本とは楽しそうに喋ってたから。山本んちでご飯ご馳走になったみたいだし」

そう言ったとたん、獄寺の顔が真っ赤になった。

「ち、違いますよ!あれはアイツが無理矢理!べ、別に好意なんて、そんなっ!」
「う、うん。分かってるから落ち着いて?」

あれ?あながちかあさんの勘違いって訳じゃなかったのだろうか。
見たこともないほど狼狽えている獄寺を少し微笑ましく見つめながら、どのタイミングで抜けようか考えていた。
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