思いつくままの妄想小説2

□He is my Hero
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最近、嫌な視線を感じる。
殺意では無く、もっと暗い妬みや恨みのような・・・


一応それなりに裕福な家庭に生まれた俺は、ガキの頃から犯罪に巻き込まれる確率が高かった。
イタリアでは、子供の誘拐など日常茶飯事だし。
だからこそ自分を守る術も身につけた訳だが。

けれど、今回のは余りにも敵意があからさまだ。
明らかにプロの仕業でなく、まるっきりの素人だろう。
そう思って放って置いたのだが・・・




「どうしたの?隼人。元気ないじゃん」


グッタリしている俺に、みづきが心配そうに覗き込んできた。
学校にいる間はそうでもないのだが、一歩学校から外に出ると途端に感じるあの強い視線。
そして時々聞こえるシャッター音。

特に何をしてくるわけでもないが、常に見張られているようで気分が悪い。
ここのところ毎日のように感じるそれに、神経がおかしくなりそうだ。
最近では複数の人間に尾行までされている。
もちろん、巻いてやっているが。


「やだぁ。それってストーカーじゃない?警察に行った方がいいかもよ」
「実害が出てるわけじゃないし、動いてくれるわけねぇだろ?」
「でも、何かあってからじゃ遅いんだし。あ、そうだ!理事長に相談するとか!」
「・・・過剰反応するのが分かってるから嫌なんだよ」

アイツの耳に入ったら大騒ぎするに決まっている。

「でも・・・」
「大丈夫だって。俺がそこらのヤツに負けるわけねぇだろ?」
「大勢で来られたらいくら隼人だって危ないでしょ?なるべく誰かと一緒にいたほうがイイと思うよ。
せっかく彼氏が出来たんだしぃ〜?」

最後の方は悪戯っぽくウィンクしながらそう言われた。
思わず赤くなった顔を誤魔化そうとしたがムリだったようで。
面白そうに笑うみづきを睨んでやった。
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