思いつくままの妄想小説

□君が分かってくれるから
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"様子がおかしい"

最初に山本を見た瞬間、獄寺はそう感じた。
何がどう・・・と聞かれると困るのだけれど。
何かが違う。それだけは確かだった。


沢田に誘われ、並中野球部の練習試合を見に行くこととなった日曜日。
相も変わらず、黄色い声が飛び交っていた。
ファンクラブとやらが、派手な横断幕を持って必死に自分をアピールしているらしい。

知らず眉間に皺の寄る獄寺に、沢田はクスクスと笑ってしまう。

「心配しなくても山本、獄寺君しか見てないよ?」
「さ、沢田さんっ?!俺は別に・・・」
「おーい!隼人ーっツナぁー!!」

視線に気が付いたのか、山本が大きく手を振りながら2人に方へ走ってきた。


「ほらね」
「で、ですからっ・・・!」

口では必死に否定するものの、白い肌は色づく頬を顕著に表してしまう。
恋する乙女そのものの様子は、微笑ましいだけだ。


「来てくれたのか?ありがとなっ!」

嬉しそうに笑う山本。その様子は一見いつもと変わらない。
しかし、獄寺の中で感じた違和感は確信へと変わった。


「武、お前・・」
「ん?何?」
「・・・何でもない。呼んでるぜ?早く行けよ」
「あ、あぁ。んじゃ、最後まで見ててな!隼人のためにホームラン打つから!!」
「・・・」
「獄寺君?」


何も言わない獄寺に沢田は不思議そうに声を掛けた。
いつもの彼女なら「バカ言ってンなっ!」などと怒鳴り返すところだろうに。
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