思いつくままの妄想小説2

□スペース・エンジェル
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ガツガツと夢中で食う姿に唖然とした。
この細い身体の何処にあの量が入るんだ・・・?
かなりの量を作ったつもりだったが俺の分、足りねぇかも・・・


「ごちそうさまでしたっ!」

どうやら満足したらしい。
俺の分も、足りる程度には残っていた。
・・それにしても、ちゃんと挨拶するなんて意外だな。

食欲が満たされたせいか、さっきよりは纏う雰囲気が穏やかになっている。

「名前は?」
「・・・隼人」
「隼人?地球人なのか?」
「知らねぇ」
「おいおい、知らねぇってことはないだろ?」
「8歳の時に漂流してたのを拾われたんだ。それ以前の記憶がない」

睨み付けるようにしながらだが、素直に受け答えをしてくる。
どうやら根は悪い奴じゃないようだ。
只、人の好意には慣れていないのだろう、何をされるのかと全身で警戒している。
・・・まるで手負いの野生動物だ。


「ふーん。とりあえずシャワー浴びてこいよ。その後手当してやるから」
「助けてくれたって事は俺を追ってる奴らにあったんだろ?何で何も聞かないんだ?
・・・何が目的だ?」
「確かに遭ったけど、まともな奴らには見えなかったしな。
それに怪我してる子供を放っておけないだろ?」
「ガキじゃないっ!こう見えても今年15になる!!」
「十分ガキだろ?着替え用意して置いてやるから早く入れよ」

そう言って片づけをするためにキッチンに向う。

暫く悔しそうに睨み付けていたが、俺が相手にしないと諦めたのか、バスルームへ入っていった。



そんなことを思い出しながら車を走らせた。

・・・家で待っているだろう隼人に、今日は何を食わせてやろうか。
そんな些細なことを考えるのが酷く楽しかった。
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