思いつくままの妄想小説2

□やっぱり君が好きっ!
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「とうとう野球馬鹿から只の馬鹿に成り下がったのかよ」


逆光になっている所為で顔は全く分からない。
けれど、あの太陽の光に輝く髪を、俺が間違える訳がない。
俺は慌ててベンチへと戻った。


「こんな情けねぇ試合見に、わざわざイタリアから戻ってきた訳じゃねぇぞ」

ゆっくりと歩いてきて、今では俺の目の前だ。
見渡しても、ツナは一緒にいない。
ならば、隼人は自分の意志で来てくれたということになる。


「ホームラン打つんじゃなかったのかよ、嘘吐き野郎」

太陽が陰り、隼人の表情がはっきりしてきた。
初めてあったときに一目で惹かれた、あの強くて真っ直ぐな瞳で見つめてくる。
嘘吐きと呼ばれたくなくて、必死で否定した。

「嘘じゃないっ!隼人が見ててくれるんならホームランでも何でも打つ!!だから」

息を吸い込み、俺も隼人の瞳を真っ直ぐに見返す。

「最後まで見ていて!絶対勝ってみせるから!」
「・・・負けが決定した時点で帰る」
「わかった。でも、絶対勝つから」


俺がそう言うと、くるりと背を向けた。
そのまま1つだけ開いていた席に座るのを確認し、俺は再びサークルに戻った。


久しぶりに身体の奥から闘志が沸き上がってくる。
今なら例えどんな強豪相手でも負けやしない。
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