思いつくままの妄想小説2
□やっぱり君が好きっ!
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俺の気持ちとは関係なく、時間は確実に過ぎていく。
明日はとうとう地区予選。
中学最後の、この大会だけは優勝したかった。
そのために毎日毎日練習してきたんだ。
・・・俺一人の問題じゃない。
チームメイト全員の努力を無駄にしてしまう。
頭では分かっているんだ。
けれど、今の俺にとって野球そのものが苦痛となっていて。
どうしても身体が動かない。
最初のうちは「何やってるんだ!!」と怒っていた監督もココまで来ると、逆に何も言わなくなる。
マネージャーは、「私の所為?私が野球観戦誘ったから?」と半泣きだ。
周りのチームメイトも心配そうに見つめてくる。
誰の所為でもない。
俺の所為だ。
隼人の気持ちも考えず、自分の都合だけを押しつけて。
「畜生っ!!」
コンクリートの壁を殴りつけた。
拳が傷つき、血が滲んでくる。
「野球選手にとって、手は命だろ?」
俺が手に怪我をする度にそう言って、隼人が絆創膏を貼ってくれた。
不器用だけれど、優しい手で。
そんなことを思いだして、また涙がにじんできた。