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「七武海の入れ替わりが激しいな」


新聞を広げて一瞥。小さくつぶやかれた言葉に、私はこの世界の構造を頭に思い浮かべる。海軍と海賊、特に親父さんを始めとする大きな4つの海賊団。四皇。そして七武海。そのトライアングルで今の世界は保たれていると、そう教えてもらった。

均衡が崩れてきてるのかねい。なんとはなしに放たれた言葉は、とても意味深長だ。
この世界もまた、じわりじわりと形を変えていっているんだろう。それはきっと、どこにいても何をしていてても、例えどの世界だろうとも一緒なのだ。


「どれどれ。へぇ、こりゃまた今度はえらい若造だなぁ。務まるのか?」

「歳なんて関係ねぇだろうよい。そもそも外見が実年齢化も怪しい世界だ」

「あははっ、確かに!」


横から紙面を覗き込んだサッチさんに、マルコさんが肩を竦めながら返す。ハルタ君が笑いながら、でも全然席を変わらない奴もいるよねぇと続けた。


「あの剣豪とか」

「剣豪?」


七武海にも剣を使う人がいるのかと、少し驚く。当たり前と言えば当たり前のような気もするけれど。世界の均衡と呼ばれる人たちだから、全員が凄まじい武器とか能力とかを持っているんだろうなぁと想像していたから。


「あぁ、言ったことなかったかねい。ミホークって奴なんだが。俺たちは鷹の目って呼んでる」

「鷹の目の、ミホーク、さん?」

「くっ、さん付けはいらねぇだろうよい。会う予定もねぇ」

「七武海で剣豪っていうと、やっぱりものすごく強い人なんですよね?」


微かに小首を傾げるように問えば、マルコさんは開いていた新聞を畳みながら頷く。


「現時点で、剣を扱う奴らの頂点に立つ男だろうよい。まぁ、この船だと・・・」


ぐるりと辺りを見回して。


「太刀打ちできるのはビスタくらいかねい」




「えー!それはちょっと納得いかないなぁ」

「確かに納得いかねぇな」


満更でもないという顔のビスタさんに、異議ありの声を唱えたハルタ君とサッチさん。びしっと上げられた指先が天を指す。


「そうは言っても、お前らビスタに勝ったことねぇだろい」

「えー、でもさぁ、はっきりと負けたこともないよ」

「良い勝負ってとこだよなー」

「まぁまぁ、二人とも落ち着け」


マルコさんにブーイングを送るハルタ君とサッチさんをビスタさんが宥める。すると「ビスタは黙ってて」とハルタ君が矛先を向けたものだから、ビスタさんは困ったように笑った。

サッチさんは面白がっているんだろうと思う。だって目が笑っているんだもん。俺は家族を守りてぇだけだよ。だからその一つとして剣を持つんだと、そう遠くない日に語ってくれた彼。

ただ、ハルタ君はそんなサッチさんとはまた違うようだ。やっぱり同じ剣士としてのプライドなのかと思うけれど、それは私が踏み込めない領域だから如何ともし難い。


「ハルタ。お前の跳躍力と身の軽さは俺にはないものだ。それはお前の長所だろう」

「まぁ、そうだけどさ」

「俺はそれが羨ましく感じられるときもあるぞ」

「・・・・・ふーん」


まだ完全には納得できないといったハルタ君。
でも片頬をぷくっと膨らませて視線を逸らすその姿に、先ほどまでの勢いはない。そんなハルタ君を見て、ビスタさんが口端だけで笑う。
あぁ、この人もすごいなぁ。
羨ましいと口にするのは簡単だけれど、それを直に人に伝えるのは結構難しいことだから。



「あの、マルコさん?」

「ん?なんだい」

「ミホークさんってどんな人ですか」

「あー、背中にでっかい剣を背負ってる。それこそ鷹のように鋭い目をした男だよい」

「あと、結構理不尽だよな」

「理不尽?」

「ヒマつぶしに船を切ったり」

「!?」

「そうそう。暇つぶしだったり、退屈しのぎだったり、手持無沙汰とか理由はいろいろだけどねー」

「えっ、それって大体意味は一緒じゃないですか・・・」


確かに理不尽。
やっぱりとんでもビックリな人たちの集まりなんだなぁ、七武海。そんないつものお決まりな感想で納得しようとして、ふと目線を海へと向けた。



「マルコさん・・・」

「どうしたよい」

「その、ミホークさんの船って」

「船?確か珍しい形をしてたと思うがねい。あぁ、十字架を模したような感じだったか」


その一言に、くっと息が詰まる音がした。驚きで瞬きも忘れてしまうくらいに、一点から目が離せない。
そんな私を不審に思ったのだろう、マルコさんが訝しげに私の名前を呼ぶ。



「あの、あれって・・・あの人って、ミホークさん、じゃ」


指さした先に浮かぶ一層の小さな船。上から見ればそれはまさしく十字架。大きな剣が堂々と中心に添えられ、鋭い瞳がこちらを見据えていた。



「・・・見張りはなにをやってんだよいっ」

「うわー、本当にミホークだ」

「むぅ、鷹の目が何故」

「さぁて、戦闘準備かぁ?」


ぴんと空気が張りつめる。船の大きさの違いで、かなりの高低差があるものの、下からの鋭い視線に思わず体が固まってしまう。
ゆっくりと黒を纏う人の口が動く。それは信じられないことに、私の名前だった。











初対面のはずですが


(七武海のお前が何の用だよい)

(暇でな。赤髪が白ひげの船に行くと面白いものが見られると言うので寄ってみたまでだ)

(あんのあほんだらがっ・・・!)


(噂をすれば影が差すってホントなんですねぇ・・・)

(ホントなんですねぇって、鷹の目との遭遇とかこの海でもレアだよレア)

(まぁ、遭ってしまったものは仕方ない)

(親父ー!鷹の目が来たー!)







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