Vampire Knight

□Sweet Memory
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コン、コン…

控え目なノックの音が部屋に響く。

「苗字様。お手紙が届いております。」

扉の外のメイドの言葉に、ソファに座り学術書を読んでいた名前は立ち上がって扉を開き、手紙を受け取る。

手紙からふわりと香るローズ。それだけで名前にとっては誰からか分かったが、念のため手紙を裏返し、差出人を確かめる。
そこに記された予想通りの名に名前は軽く眉を寄せた。


そして名前が向かったのは寮長である枢の部屋。

軽くノックして、入室し、部屋の主を探す。

枢「こんな時間にどうしたの?」

そう自分に尋ねる枢は珍しく、スラックスにワイシャツ一枚というラフな服装でソファに横たわっていた。
大方何かの書類に目を通していたのだろう、ソファの周りには紙が散乱していた。

それらを一枚一枚拾いながら名前は枢に用件を伝える。

「3日程外出許可を頂きたいのです。」

その名前の言葉に書類に向けていた目を名前に移す。

枢「一応、寮長として聞くけれど…何のために…?」

名前「分かっておられるのに聞くのですね(クス
そうですね…苗字の義務のようなものです。」

そう言って小さく息をはく名前。

枢「…そう。なら理事長には僕から話を通しておくよ。
あぁ、でも3日間だけだよ。
それ以上、君がいないと僕が困る。」

その言葉に、ふわりと微笑み

「有り難う御座います。」

とソファを離れる名前。

部屋を出て行くのかと思いきや、名前はベッドルームにあったブランケットを手に枢の元に戻り、それを枢にかける。

名前「私がいない間、御無理はなさいませんよう…
枢はすぐに食事や睡眠をサボってしまわれますから…」

そう言って微笑む名前に枢もまた微笑み返す。

そして今度こそ名前は踵を返し、部屋を出て行こうとする名前に今度は枢が呼び止めた。

枢「行ってらっしゃい…
<彼女>に宜しくね。」

その言葉に名前は振り返り、再度ニッコリと微笑むと部屋を出て行った。
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