今日は晴天なり

□海へ行こう!
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皆さんこんにちは〜
烏丸式です。

現在、私は海にいます。
白い砂浜、青い海、後ろから追いかけてくる我らが頭領、服部半蔵。

これがもし


「私をつかまえてごらんなさーい☆」

「あはは、待て〜☆」


みたいな光景だったらまだましだったのに…
(そんな頭領は気色悪すぎる。想像しただけで吐き気が…)

実際は


「ぎゃあああああ!来んなーー!!」

「……」


無言で追いかけてきますよ。
しかも全力疾走!目は止まれって言ってるし…
あ〜、視線が突き刺さる、マジで怖い!

だれか助けてよ!うら若き乙女が(普通の着物姿)怪しい男(忍装束)に追いかけられてんのに無視かよ!
みんな見て見ぬ振りしやがって!!

ホントになんでこんなことになったんだっけ…


〜遡ること数時間〜


待ちに待った長期休暇、久しぶりに実家に帰ってきた。
城から結構離れてるから滅多に来ることが出来ない。
海が近いため潮風は強いが静かでいいところだ。

一昨日着いたばかりで疲れ切った体を癒すため昨日はほとんど寝て過ごしてしまった。

今日ものんびりしようと思っていたが母に頼まれ買い物に行き、その帰りに会った漁師のおっちゃんに魚を貰った。

今日の夕食は煮つけがいいな〜


「思ったより時間かかっちゃったな〜。ただい「おかえり!遅いじゃないか。もう少しで迎えに行くところだったよ!あっ、それは魚かい?雪さーん、式が帰ってきたよー!!」うっさい……」


この煩いのは私の父、一葉。
元忍で昔任務中に負った怪我がもとで忍を引退し、その時に出会った母の雪と結婚して今はここ『旅籠 烏丸荘』を母と弟と共に経営している。

一見優男な父だが、現役のころは頭領の父上の右腕として働き、他国の忍に恐れられていたとか。
なんでも任務中に一葉を見たら最期だと思え、といわれていたほどらしい…
このことは私が小さいころからよく聞かされていたが、ゴキブリすらビビって殺せない父がそんな大物だったとは信じられず、話を大きくしているだけだろうと思っていた。

私が忍になって服部党に属すると父が知ったとき昔の話が嘘なら焦るかなと思ったが


「ああ、あそこは今代替わりして保長さんの息子の正成君が頭領になったらしいね。正成君が小さいころに何度か会ったことあるんだ。なつかしいなー」


と暢気に言っているのを聞き、少しだけ信じるようになったのを覚えている。

ならばその頭領の正成君、基半蔵も父のような性格なのか?と滅茶苦茶不安になったが実際の頭領は父とは正反対の人物ですごく安心したっけな…

同僚たちは私の氏が烏丸だと知ると、もしかしてあの烏丸一葉の娘!?と色々な逸話に対する質問をしてきた。
中には私が知らない話もあったが、話と実物が違いすぎてきっと怪我をしたときに頭のネジが五、六百本抜けたんだという結論にいたった。
昔のかっこいい父さんを見れなくて残念だなぁ…
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