今日は晴天なり

□11月11日は?
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11月11日はポッキーの日


「…って知ってた?」

「…ああ」


何故か急に入ってきた今日中に終わらせねばならない仕事に集中していると、突然同僚の式がそう言ってきた。

そんなどうでも良い事に答えるのは非常に面倒だが、気になっている相手を無視し、心証が悪くなることは避けたいため一応返事をしておく。

それとなく忙しいから声を掛けるなという声音で答えたつもりだった。

が、


「じゃあ、ポッキーゲームやんない?」


ポッキーを食べながらイスをクルクル回転させていた式がニヘーッと笑いながらそう言い放った。

ああ、これが世で言うKYというやつか…
おそらく式でなければ殴っていただろう。


「聞いてる〜?」

「…見ての通り忙しい。菓子を食ってないで仕事をしろ……」


式を軽く睨みつけるが、式はフッと笑い自分のデスクに目をやる。


「仕事をするにももう終わっちゃったからねぇ……ほら半蔵さんと違って綺麗に片付いてるでしょー」

「ならばさっさと帰れ」


なんの嫌がらせだ、その見下すようなニヤついた顔をやめろ。


「私もできればそうしたいけどポッキーゲ−ムしないと帰れないし」

「意味がわからん…」

「さっき風魔さんからのメールに「待て」…何?」

「何故お前は風魔からメールを貰う…」

「だってメル友だもん。半蔵さんの学生時代の話とか教えてくれるんだよ」

「Σ何!?」


あいつは何処まで俺の邪魔をすれば気が済むんだ!
昔から意味のない悪戯(という名の嫌がらせ)にどれほど苦労させられたことか…思い出すと頭痛がしてくる……


「そんなことは置いといて…風魔さん曰く、『このメールを見た者は、ポッキーの日にポッキーゲームをしないと大変なことになる。この話を三人に話すか送れ、ククク…』…ということで大変なことが起きないように私を助けてよ」

「…それはチェーンメールだろう。ほうっておけ……」

「他の人だったら無視するけど風魔さんからだからさぁ…ホントに何か起こるかも、というか半蔵さんとかに実際起きてるしね…」

「俺に?」

「昨日『今日中に蜜柑を三個食べないと大変なことになるんだって〜』って言ったの覚えてる?」

「…ああ」


そういえばそんなことを言っていたな…


「で、私はちゃんと三個食べたから何にも起こってないけど、半蔵さんは突然入った仕事がいっぱい、しかも全然進まない!って感じで現在進行形で大変なことになってるし、家康社長はエレベーターが故障して中に閉じ込められちゃったし、忠勝さんは家康社長を助けようとエレベーターをこじ開けて、その危機迫った姿をたまたま見た稲と助けようとした張本人である家康社長に『きゃー!化け物ー!!』って叫ばれて精神的ショックのあまり今も屋上に籠城してるし…」

「待て、今そんなことが起きているのか!?」


俺と式以外誰も居ないのを不審に思ってはいたが……
しかし、何故それ程の事を誰も俺に報告しないんだ!?

俺が批難の視線を向けると式は呆れたような顔をする。


「だって半蔵さんすっごい殺気立ってるからさぁ…皆怖くて近寄れないんだよ」

「………そもそも悪いのは風魔の呪いもどきを広めたお前だ」

「うわぁ、ひっで〜!責任転嫁だ。ってそんなことはどうでもいいの!新たな呪いを聞いたからには半蔵さんも私もポッキーゲームをやらないと明日は大変なことになるよ」

「しかし……」


もし暇だったらこの上なくうれしいイベントではあるが今はとても忙しい。だが、明日も今日のように仕事があると大変困る…

どう返事をするか悩んでいるとそれを感じ取ったのか式がニィッと笑う。


「私が負けたら仕事手伝うよ?」

「…二言は無いな」

「もちろん」


式がここまで積極的?とは思わなかった。
もしかして酒を飲んでいるのか?
前に階段から落ちそうになった式をとっさに抱きしめたときは面白いほど真っ赤になっていたが…

そんな疑問を知らない式は、よーしと言い、俺にポッキーの箱を渡す。

俺から咥えろと言うのか…
誰か来たら恥じだ……//
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