今日は晴天なり
□恋人達の事情
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「今日も綺麗な満月だね〜」
「………」
月を見上げながら式は少し離れた場所に佇む半蔵に話しかける。
「もうすぐ交代の時間か…屋敷に帰ったら一緒に月見酒でもしない?それとも疲れたし寝る?もちろん一緒に……きゃー//!」
「………」
「あッ、半蔵照れてる?恋人同士なんだから照れなくっても良いのに〜」
「………」
「この前なんて一緒にお風呂入ったんだしさ〜//」
式が顔を赤らめきゃーきゃー言っていると半蔵がフルフルと震えだす。
「………式。そろそろ…」
「煩い黙れ喋るな」
「頼むからもうやめてくれ!」
そう叫ぶと同時に術を解き、ボンッという音ととも半蔵から辰吉に戻った。
「ああ!術解くなって言ったじゃん!この馬鹿、堀に突き落とすぞ!!」
「さっきからずっと頭領とお前の事聞かされる俺の身にもなれよ!」
「うるさーい!私は半蔵が長期任務のせいでもう二ヶ月も会ってないんだよ!半蔵欠乏症で死ぬ!!」
「知るか!もうすぐ帰る予定だろ!?我慢しろ!」
「我慢!?中身が辰吉とはいえ目の前に半蔵が居て、抱きつきたいとか口付けしたいとか押し倒したいとか思いながらも必死に我慢している私にこれ以上我慢しろって言うのか!!」
「おまッ、そんなこと考えてたのか!?絶対実行するなよ!俺が頭領に殺される!!」
「その前に私に殺されたくなかったら、今すぐ半蔵に変化しろ!」
「絶対い「やと言ったら即首を切り落としまーす」変化!」
刀を抜きぶんぶん素振りをする式を見て辰吉は即座に半蔵に変化した。
「う〜ん、やっぱり本物のほうがかっこいいな…」
「いやいや、これでも俺変化は頭領にも認められるくらい得意だぞ」
「ハア〜、わかってないな〜。問題は見た目じゃなくて中身だよ。半蔵のすっばらしい中身とあんたのダニみたいな中身を一緒にしないでよ」
「ダニみたいな中身ってなんだよ!?」
「さあ?ようするに月と鼈以下の石ころに付いてる泥みたいな?」
「ひでぇ!うぅぅ…」
「半蔵の姿で泣くな!堀に落とすぞ!」
そう言いながら式は半泣きになりながら膝を抱えて座る辰吉の背中をつま先で突っつきながら脅す。
「うぅ、理不尽すぎる」