終わりと始まり(仮)

□第1話
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「うし!準備もできたし、そろそろ出発でもすっかな。」


小さな手荷物1つを肩にかけ、青年はドアへと進む…。

その様子は、よろず屋を営む彼にとっては日常の事で、何日間か家を空け留守にする事もしばしば。

しかし、誰も居なくなる訳ではないので何の心配もない。…まぁ、彼にとっては居ようが居まいがたいして変わりないのだが…。




「!…ちょっ、ちょっと待つんじゃっっ」

「…………」

「!…おいぃぃぃ!!無視するでないっっ!!」

「…チッ。なんだよ、ジジィ…。」

「舌打ち!?」


この、なんともテンションが高い老人が青年の祖父でもあり同居人である。

名は"カイト"75歳、妻には数年前に先立たれ、只今独り身。

白と黒が混じった短髪に引き締まった割りとガタイのいい身体。

歳のわりには若く見られる…と言いたいが、悲しい事に話し方のせいでプラマイゼロ…。本人は変える気はまるで無し。


青年の方はというと、早くに両親が他界。
父方の祖父であるカイトを反面教師に育ち、多少の反抗心はあるものの非行に走る事なく、すくすくと…ちなみに今年22歳になりました。


「いつもの事だが、気をつつけるんじゃぞ。」

「……おぅ。…御守りも持ったしな。」

「……土産は茶菓子でよいぞ。」

「………………。」


スタ、スタ、スタ…


ガチャ…バタン…


「!…ク〜オ〜ン!!!!!!」







青年の名はクオン、ある人を師と呼び、職業は祖父に続きよろず屋を営業。



これは、そんな彼の物語……。





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