黒子のバスケ

□昨日の敵は今日の恋人
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「慰めてよ」

「…はい?」

ほんとに偶然、ストリートバスケの大会で出会った宿敵。
いや向こう側にしてみれば『宿敵』なんてカッコイイものではないかもしれないが、少なくとも正邦…、春日にとってはにっくき敵のはずだった。

でも、実際はそんなギスギスした感情は抱くに抱けなくて、ストリートバスケでは戦うことすらできなかった彼に何故か慰めなんぞを求めている。

「…慰めて、ほしいんですか?
―――僕に?」

自分達が負けた相手に?

と、暗にそう言っているのだろう。確かに、勝者が敗者に掛ける言葉なんて厭味以外にはない。
それを彼に求める自分は間違っているのだろうけど。

「うん…ていうか、実は結構へこんでんだよね〜…これでも。」

「…ですか」

「…ですよ」

困っているのはわかる。春日だって、もしそんなことを言われたら何を言えばいいのかわからない。例え慰めを相手が求めていたとしてもそれは厭味以外にはなり得ないからだ。

「…とか、困るよな。すまん」

「ええ困ります。」

まさかそんなストレートに言われるとも思っていなかったがいっそ清々しい。しかし、小さくはない落胆を隠せずにいると

「…慰めは、しません。でも」

小さな声が降ってくる。

「高校でのバスケを引退したからって、やめなければいけないわけではないでしょう?……続けて、下さい、バスケ。春日さんは、バスケが好きでしょう?」

胸の内に温かなものが満ちる、その感覚を初めて味わった。
その黒子の言葉は、慰めより何倍も春日の心を癒す。

何だ、と。

慰めが欲しいわけではなかったのか、と。

何故か目の奥が熱くなり、視界がぼやけて、気付く。

認めてほしかった。自分達の三年間が、バスケに命すら懸けた三年間が、無駄ではなかったのだと。誰でもよかった。顧問でも後輩でも、敵でも。

けれど、皆『お疲れ様』とは言っても『また一緒にやろう』とか、『バスケを続けてくれ』とは一言も口にしなかった。

それを聞いた時には別に、そんな言葉を求めているんだということにも気付いていなかったが、実際には、多分、春日が求めていたのは『激励』ではなく『叱咤』。お疲れ様、ではなく、これからも頑張れ、という言葉だったのだ。

「っ―……なんだよ…何でそんな……」

求めていた言葉をくれるんだ。

オレのことなんて、何も知らないくせに。


「知ってますから、春日さんの強さも、それが…どれだけの努力の結果なのかも。」

「!…何、それ……。っは、あははっ!ははっ、…っは、黒子、くん…」

笑った拍子に、溜まっていた涙が目尻から頬に伝った。

「?はい」

しゃがみ込んだ春日に付き合って自分も膝を折った黒子と、初めて同じ高さで目線を交わした。
澄んだ色の瞳は何より春日に勇気を齎す。


「…好きです。付き合って下さい。」

先程『慰めて』と言った時と同じようなトーンで顔を膝に埋めたままくさい台詞を告げてみる。こんなべたな少女マンガのようなワンシーンをまさか自分が繰り広げるとは思っていなかったが、それ以外にどう言えばいいのかわからなかった。
本当に少女マンガなら、ハッピーエンドで最終回、そんな都合よくいくかと馬鹿にしきっていたかつての自分を今は呪う。



「……ハッピーエンドに、しましょうか。」


同じことを思っていたのか、そんな答がその小さな唇から紡がれた。

「!!っ…ま、まじですか」

「…冗談は苦手です」

そう言って微かに浮かべた花のような笑顔に、本当に少女マンガのワンシーンみたいだと馬鹿みたいな想像をして。

「僕も、あなたが好きです」

「嘘じゃない、よね…?」

「嘘も苦手…っん、」

触れた柔らかな唇の感触に、マンガじゃなくて良かったと微かに安堵の溜め息を零した。


あとがき―今回無駄に長いよ―
初の春黒!!このCP好きなんです私。ええマイナーなのはわかってますともさ。でもマイナーだろうと何だろうと若黒も今黒も好きなんだよ!!!!
でも今だに他の方の春黒絵とか春黒文を見たことがありません……。
同志様は是非お友達になって下さい←
少数派だろうが愛は変わりませんのよ!!!!

春日さんはとてもいい人だと思います。だから春黒は仄々専門CPでお願いします←何が
仄々っていうかすげえ青春してればいいと思います。
エロは黄黒・青黒で存分に!!

黒子総受けを愛してやまないのん←いらね

反省↓↓
冒頭の「慰めて」って絶対えろい意味だと思うよな。すみませ…我ながらなんて書き出しだと思いましたハイ。でも実際にえろい意味の時ももちろんあります←
だって私エロ好きですもの(死ぬべき

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