吹雪士郎
□虎吹
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"答辞。
―桜の蕾もパラパラ見られ、春の訪れを感じる今日この日"
風はまだ冬のようで、体の芯が冷えるような感じに襲われる。
それに目の前の桜の蕾は、固い殻に包まれていた。
まぁ、中学生なんてこんなものか。
"私たち3年生は―"
可愛らしい桜の蕾なんか、まだまだ現れる気配はない。
「ウソつき」と呟いてみると、何だか子供じみていているような気がした。
まだ声変わりしていない声は、それを引き立てるかの様だった。
"――卒業します。"
急にボワッと風が吹いて、枝しかない木を揺らしていった。
今年も順調に雷門中学の卒業式は始まった。