吹雪士郎

□拝啓 君へ
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アツヤへ

やっと君に手紙が書けるようになったよ。

キャラバンの時はアツヤにいっぱい迷惑かけちゃったよね。

ごめんね。


こんなこと言ってたら君はウジウジするなって怒るかな。

じゃあこの話はここまでね。


今回はね、アツヤに紹介したい人がいるんだよ。








「どうぞ。入って。」

「お邪魔します。」





彼はフィディオ・アルデナ。イタリア人。
すごくいい人だよ。





「わぁー。
ここが吹雪の部屋か。」

「って言っても来たばっかりだし何にも面白い物なんてないよ。」



今日は僕の部屋に呼んだんだ。

僕の部屋って言ってもジャパンの合宿所なんだけどね。



大会が終わって落ち着いたら2人で北海道に行くからね。



「あれ?
これは…??」


フィディオくんは机の上に置いてある写真立てを指差す。

「あぁ、それはね。






僕の弟、








吹雪アツヤだよ。」




幼いアツヤの写真にずいっと顔を近づける。




これがフィディオくんだよ。
すごくかっこいいでしょ!!
特に深蒼の瞳がキレイなんだ。



「アツヤって…士郎の双子の。」

「うん。
でも、全然似てないでしょ?
似てるっ言ったらお父さん譲りのグレーの目くらいだし…
髪色も正反対だし、性格だってアツヤは何でも考えるより先に手が出ちゃうし。
それで何回問題が起こったことか…。
お兄ちゃんは悲しかったよ。」



「…。
でも、その頃はアツヤの事好きだったんだよね。」



アツヤの事はね、前に少し話したんだ。



「性格とか反対だったけどね、だからこそ僕の持ってないものをたくさん持ってたんだ。
あと、見かけに寄らずハムスターとか大好きだし。
仔猫は何回拾ってきたか。
でもね、最後はアツヤがちゃんと大切に育ててあげるんだ。

そういえばイタリアには猫とか街にいっぱいいるのかな??」




「……。」





あれ??
なんか表情が暗いよ。




「フィディオくん?」







ぎゅっ







「へ☆
な…どうしたの!?」


急に僕を抱き締めるフィディオくん。
何かあったのかな。
取りあえず甘受けしておこう。

ゆっくり茶髪のくせっ毛を撫でてあげる。



「士郎はさ。」


少ししたら落ち着いたのか僕の肩に顔を埋めながら話し出した。

「俺の恋人なんだよね。」

「…う…うん///」


「アツヤは?」

「え。」

「アツヤの事はまだ好きなの?」



分かった。

フィディオくんは僕がアツヤの事ばっかり話しちゃったから


「嫉妬してくれたんだね。

でも、今はちゃんとフィディオくんが好きだから」






ぎゅっ。






更に抱き締める強さが増した。
今度のは照れ隠しかな。







でも、





「フィ…フィディオくん。
痛いんだけど…;」



そろそろ痛くなってきたよ。
離してくれないかな。









さわさわ…さわっ。






「!!??////」


背中の方から何かが伝う感覚。
これは…

手つきがヤラシイよ;






「こら!!フィディオくん!!
なにやって…ひゃあ!!!
ッダメだって。

アツヤだって見て………あれ??」





チラッて見ると


机の上のアツヤの写真は触ってないのに伏せられていた。




「??……







こら!!」






バチーン☆






「あぅ…
士郎。叩くことはないだろ!!」

「僕だってフィディオくんが変なことしなかったら叩かないよ。



もぅ、いいよ!!」




少し拗ねたフリをしてみる。







「わぁーー!!
ごめんって;
ね?」




そうすると彼は少し慌てるからそれを見るのが楽しい。











フィディオくんは優しくて、すごくかっこいいんだよ。
ただ、少しえっちだけど;

でもね。
僕をすごく大切にしてくれるんだ。




今回は取りあえず報告はしときたかったんだ。

今度北海道に行ったときに改めて僕の恋人として紹介するね。














じゃあ、アツヤもそっちの世界で幸せに元気でね。

























((俺は、兄貴が幸せなことをいつも願ってるぞ。))
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