吹雪士郎

□想い出の場所T
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はぁ…はぁ。

行かなきゃ。

あの木の下にきっといる。


「お兄ちゃん!!」

「あ。虎ちゃん。
そんなに急いでどうしたの??」

そこには中性的な顔立ちをした美しい少年。
「引っ越しちゃうって本当なの??」

「情報早いね。
そうだよ。ここよりもっと寒いところなんだって。」

お兄ちゃんは綺麗なグレーの目で遠くを見た。なんだかすごく寂しそうに…。

「お兄ちゃん…。」

お兄ちゃんって言っても血は繋がっていない。
幼馴染みで家が近所なだけ。

生まれた頃から一緒に遊んだりしていたから、一人っ子の俺にとっては本当のお兄ちゃんみたいなものだ。


「虎ちゃん。
まだ分かんないだろうけど、今から言うことは絶対覚えててね。」

「うん。」


「虎ちゃん、僕ね。

虎ちゃんのこと好き。
大好きなんだ。」

「え。
俺もお兄ちゃんのこと好きだよ!」


「…そう。
じゃあ僕の事…それにこの場所の事、忘れないで。」

「うん!!
忘れない!!」

そのお兄ちゃんの表情はすごく悲しそうな目をしていた。
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