吹雪士郎
□好きな子ほど苛めたくなる
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浴室に入るとまず始めに悲鳴に似た声が聞こえた。
「ひわぁッッ!!…ごう…えんじ……くん」
そこには広い浴槽に入って体を休めている吹雪がいた。
「あぁ…吹雪。
お前も入っていたのか。」
まぁ確信犯なんだがな。
あくまでも偶然を演じる。
「うん…監督に開けてもらうように頼んだんだ…。
わぁッッ!!豪炎寺くん!!
は…入ってこないでよッッ!!!」
「何でだ?
俺は普通に風呂に入りに来たんだが…??」
俺はきっと意地悪い笑顔を浮かべているんだろう。
吹雪は体育座りのように体を小さくして視線を下げてる。
黙ってしまった吹雪に俺はさらに追い討ちをかける。
「あれ?吹雪。
虫に刺されたのか?
首元が赤くなってるぞ。」
「えッ!?……え…ぁ…」
狼狽える姿はまるで小動物のようだ。
可愛い。
「そ…それは、
昨日…豪炎寺くん……がッ…」
「昨日、俺が?」
これも確信犯。
顔は何もない浴槽を見ていて伺えないが少し癖の付いている髪から見える耳は真っ赤だ。
「〜〜〜///」
「士郎…」
「ッッ!!///」
俺は1オクターブ下で吹雪の名前を呼ぶ。
この声と呼び方は情事の時にしか出さない。
昨日の事を思い出したのか、
これでもかというほど顔を真っ赤になった。
雪のように白い肌が真っ赤になってすごく映えていた。
あぁ、可愛い。
「吹雪。
顔が真っ赤だけどどうしたんだ?
逆上せたのか。」
「ッ〜〜〜〜〜〜////」
俺が吹雪の答えを待っていると
バシャッ
「!!」
突然風呂のお湯を顔面にかけられた。
バッ
「〜豪炎寺くんの意地悪!///
〜〜〜バカァッッ!!////」
ピチャピチャ……ピシャッ……
耐えられなくなったのか顔を真っ赤にしながら出ていってしまった。
怒っている顔も可愛いと思う俺は末期だな。
にやける顔は押さえられない。
あぁ、可愛い。
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好きな子ほど苛めなくなる
(それは 愛 故です。)