ロイリザ短編

□senza pesante
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 今、リザは何と言った?人参・・・?
 完全に思考回路がショートしているロイに、もう一度、ゆっくりと、今度は分かり易く言う。



「出来てたんです、赤ちゃん。」



 数秒かかってその言葉を理解したロイは、オロオロとリザを見る。
「つまり、妊娠、したのか?」
「はい、3ヶ月です」
「でも、食べまくってなかったか?」
 普通3ヶ月と言えば、つわりがひどくて食べ物のにおいで嘔吐する筈だが…。
「私、食べつわりみたいなんです。何か食べてないと気持ち悪いって言う」

 リザの言葉に、ロイもようやく理解してきた。
―これまでの体調不良も、異常なまでの食欲も、全て妊娠した為だったのか。

 ロイは、もう一度リザを抱きしめる。ギュッと抱きしめ、そのままの状態でリザに囁く。
「ありがとう、リザ・・・ありがとう…!」

 二人の目から、涙が零れ落ちる。
 嬉し泣きという名の涙が、止め処なく二人の頬を伝う。



―――お腹の天使が、無事に育ちますように。

 まだ見ぬ我が子に、ロイは心の中で呼び掛けた。



 その後、リザに食事制限がかけられたのは、言うまでもない・・・。





-fine-
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