□8000記念キリリク
2ページ/4ページ

 もうだめか、と心のどこかで諦めかけた頃、吹雪が収まり視界が開けてきた。見渡しても真っ白な雪景色が広がっているばかりで、人の姿はどこにも見当たらない。
「・・・ん?」
 遠くに、木とも人とも違う黒い何かが見えた。目を凝らしてよく見てみると、家屋のように見える。あそこに行けば助けを求められるかもしれない。
「リザ、小屋があった。あともう少しの辛抱だよ」
 リザを抱いたまま、少しずつ歩き始める。彼女の意識が途絶えぬよう、声を掛け続けながら。

 ようやくたどり着いたそこは、丸太で作られた頑丈な小屋だった。ノックして呼び掛けてみても返事はない。試しに取っ手に手を掛けると、鍵は掛かっていなかった。中を覗いてみると、人が住んでいる形跡は見られなかった。
 ひとまず、小屋の端にごろごろと積んである丸太を錬金術で簡易ベットに錬成し直す。そこに非常用の簡易毛布をひき、リザを寝かせた。幸いこの小屋には暖炉がついていたので、暖をとることが出来た。それに、煙突から出る煙で誰かが気付くかもしれない。
 ちらりとリザを見やると、まだ体が温まっていないのか小刻みに震えていた。ロイも布団の中に入り込み、優しくリザを抱きしめる。
「寒くないか、リザ?」
 返事はなかったが、代わりにリザの表情が少しやわらかくなった。弱々しかった呼吸もかなり安定してきている。後は救助を待つばかりか・・・。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ