□6666記念キリリク
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「―――以上が、初日の報告です」
「そうか・・・これと言った収穫無しか」
「申し訳ありません、マスタング大佐」
 マスタング大佐と呼ばれた黒髪の男は、渋い顔をして深いため息を吐いた。
「いや、君のせいじゃないよ、エリザベス」
 エリザベスと呼ばれた金髪の女性は、申し訳無さそうに俯いた。

 二人はアメストリス国軍に所属する軍人で、現在、潜入調査を行っていた。
 匿名で、違法組織であると思われる団体を知らせる通報があり、秘密裏にエリザベス――リザ・ホークアイ中尉が潜入する事になったのだ。
 そこは、表向きはただの中小企業で、様々なルートから調査を行ってみたがこれといった情報を入手できなかったため、短期間の社長秘書としてリザが潜入することになった。

 初日からそう易々と情報が得られるわけはないと分かってはいたが、郊外のビジネスホテルで報告を受けたマスタングは、力無くベッドに突っ伏した。
「何日くらいで情報を引っ張り出せそうか?」
「そうですね‥‥今日の印象では、一週間は掛かりそうな気がしました」
「いっしゅうかん・・・」
 任務が完了するまではこのホテルに滞在する事になっていた。周辺には店も娯楽施設も何もないので、これからの退屈な日々を思うだけでロイはうんざりした。
「・・・君も今日は疲れただろう?もう休もうか」
 そうですね、と返したリザは、すぐに怪訝な顔になった。
「大佐、ここは私の部屋なのですが」
「それがどうかしたか?」
「・・・出て行って下さい!」
 我が物顔のロイに頭に来たリザは、枕を投げつける。それをひょいとかわしたロイは、涼しい顔で続けた。
「一つになって寝れば、二人でもシングルで寝れるだろう?」
「さらっと下ネタ言わないで下さい!」
 ロイをベッドから引きずり降ろそうとした手を伸ばしたが、さも予想していたと言わんばかりに腕を掴まれてしまった。
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