ロイリザ短編
□シアワセの波
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キッチンから、コトコトと言う音と共にいい香りが漂ってくる。その香りで目覚めたロイは、思い出したかのように鳴る自分のお腹に苦笑する。
ついこの間までは、こうして目覚める事もなかった。それが尚更"結婚した"と言う事実を認識させる。自然と顔がにやけてしまう、いかんいかん。
リビングに行こうとして初めて、肩にピンク色のカーディガンがかけられていることに気が付いた。勿論これは彼女のもの。風邪を引かないようかけてくれたに違いない。
「リザ?」
まだ眠りから覚めきれていない声で、新妻の名を呼ぶ。しかし料理に一生懸命で気が付いていないようだ。
更に近付き、背後に立つ。それでも彼女はなお気付かない。
「リザ?」
そっと抱き締め、耳元で優しく呟く。