ロイリザ短編

□senza pesante
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 この度晴れて准将になったロイ・マスタングは、最近、頭を抱えていた。
 その原因は、目の前で「君の胃はブラックホールか!?」と言いたくなるほど食べまくっている、愛しの妻・リザ。心なしか、軍服のズボンに余裕がなくなってきた気がする…。
「そんなに食べて、太らないか?」
「言われてみれば、少しズボンがきつくなってきたような気がしなくもないですね」
「ほらみろ!」
「でも何だか具合が悪いんです、ずっと熱っぽいというか…気持ち悪いし」
 頬に手を当てて言うリザ。自律神経失調症の文字がロイの頭をよぎる。グラマン大総統に変わってから、国の再建やイシュヴァールの新政策もあり、退院したばかりなのにリザにはかなり無理をさせてきてしまった。勤務中に時折辛そうに顔をしかめていたリザが思い出される。
「今日非番だろう?病院に行った方が良くないか?」
「そうですね、そうします」

 朝食を済ませ―――と言っても、まだ食べたいと言ったリザを何とか説得して無理矢理終えさせたのだが―――少し不機嫌さの残る顔で見送るリザに手を振り、ロイは家を後にした。
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