ロイリザ短編

□甘いティータイムはいかが。
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 俺はジャン・ハボック。アメストリス国軍少尉。元、だけど。
 ボインな彼女が出来たと思ったら実はホムンクルスで、そいつに刺されて退役する事になっちまった。・・・っておい、誰だ今笑った奴は!
 今日は退院の挨拶をしに中央司令部を訪ねたんだが、みんなバラバラに飛ばされちまって今は大佐と中尉しかいない。って言っても、中尉は大総統付き補佐とか言う人質状態なんだけど…ってそれは今は関係ないか。

 かつて勤めていた見慣れた部屋に入ると、相変わらず大佐がつまらなそうな顔をして書類に向かっていた。…いや違う、あの人マグカップをいじってる。アンタねぇ、もう中尉はいないんスから、いい加減自分の力だけで仕事して下さいよ!
「大佐ァ、最後くらい真面目に仕事してる姿を見せて下さいよォ」
「!ハボックか!退院したのか?」
「お陰様で」
 来賓用の机で、お互いの近況なんか話していると、大佐の新しい部下がコーヒーを淹れて持ってきてくれた。中央のコーヒーは東部のそれよりも美味しいが、やっぱり美味しいってレベルではない。
 ズズ、とコーヒーを飲む大佐を何気なく見ると、ふとある事に気が付いた。
「あれ?大佐マグカップ変えたんスか?」
「ん?ああ、まあな」
 カップを少し前に突き出し、何やらニヤニヤしている。何か嬉しい事でもあったのか?気持ち悪いな…
「何鼻の下伸ばしてんスか…ってうおぉ!前髪が!」
 俺は全然悪くないのに、何で前髪を焼かれるんだ!しかも当の大佐は涼しい顔でコーヒー啜ってやがる…
「ところでハボック、何時の汽車で帰るんだ?」
「夕方の汽車っス。店を閉めてからお袋達が迎えに来てくれるんで」
「そうか」
「せっかくだから中尉にも挨拶して帰りたいんスけど、司令部内にいますかねぇ」
「ああ、今の時間はいるぞ」
 やっぱりな、離されても大佐は中尉の勤務状況を把握してる。羨ましいな畜生!俺も素敵でボインな彼女がほしい…今度は人間の。ここ、重要。



「時間があったらまた来ますんで」
 そう言って、中尉の元へと向かった。
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