ロイリザ短編

□届かない、距離
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「これからエイミーとデートだ」
 定時を告げる鐘が鳴ると、そう呟いた貴方。
 どこか嬉しさがにじんでいるように聞こえるのは、私の勘違いではないはずだわ。

―――最近、彼女とばかりデートするんですね。以前は色んな人の名前が出ていたのに。

「そうですか、ではそろそろ行かれた方が良いと思います」
「いや、まだ時間があるから大丈夫だ」

―――そう言う問題じゃないの、これから好きな女(ひと)と会う貴方と一緒にいるのが辛いの。

「書類は私が片付けておきますから。どうぞ行って下さい」
 少し、とげのある言い方になってしまったかもしれない。
「・・・分かった」

 部屋を出る貴方の後ろ姿を見送って、私に残ったのは安堵感。そしてそれ以上に何とも表現しがたい負の感情。
 彼が最後に言い残した分かったと言う言葉が、私の中で冷たくこだまする。



私は彼の副官よ、恋人なんかじゃない。
もういい歳なんだから、想う相手がいたっておかしくないじゃない。
なのに、何で妬いてるのかしら。
私には、彼の恋人になる資格も権利も無いというのに。



 しっかりしなさい、リザ。
 忘れなさい、リザ。
 仕事を進めなきゃ。





 だけど、苦しいものは苦しいの―――…

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