ロイリザ短編
□senza pesante
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「ただいま」
いつもならこの後すぐに「お帰りなさい」とリザが姿を現すが、今日は違った。そもそも、部屋に電気がついていない。まさか、実はガンで、即入院した・・・!?
そんなはずはない、と自分に言い聞かせながら部屋の電気をつけると、寝室のドアが少し開いているのに気付いた。
「・・・リザ?」
ドアに背を向ける形で横になっていたリザは、ゆっくりとロイの方を振り返る。
その表情は、戸惑いに満ちていた。
「どうした?何かあったのか?」
これ以上リザが不安にならぬよう、優しく抱きしめながら努めて明るく訊ねる。しかし小さく震えるリザは答えようとはしない。
「寝ている時に怖い夢でも見たのか?」
リザはふるふると首を振る。だとすれば、やっぱり・・・!?
「…げつ、だそうです」
「ん?」
ようやくリザが口を開いたが、声が小さすぎて全く聞こえない。リザの口に耳を近付ける。
「さんかげつ、だそうです」
「余命!?」
物凄い剣幕で叫んだロイの姿に、リザは思わず吹き出してしまった。
そして、まっすぐロイの目を見つめた。その顔からは、もう戸惑いの色は消えていた。
「違います。
妊娠3ヶ月、だそうです」