ロイリザ短編

□Valse du Petit Chien
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「大佐、今日は早いですね」
 普段は仕事をサボるロイが早々に仕事を片付けたため、指令部内のみんなは吃驚していた。
「今日は昼までだからな。早めに終わらせないと「デートッスか?」
 ロイが言い終わる前に割って入ったのはハボックだ。煙草をふかせてニヤニヤしている姿が妙に腹が立つ。ぱっちんと煙草を消し炭にしてやった。
「危ないじゃねッスか!火傷する!」
 ハボックの非難を無視して時計を見る。あと3分、帰る準備はばっちりだ!ここでテロなんか起きたら犯人は全員消し炭にしてやるからな…
 そんな物騒なことを考えているうちに、ロイの退社時間がやってきた。
「では、後は任せたぞ!」
「はい!」「分かりました」「うっす」「へーい」
 ロイは一目散に帰宅した。

 私服に着替えたロイは、最愛の恋人・リザの家へと急ぐ。待ち合わせより早く着きそうだが、彼女のことだ、既に準備は済ませてあるだろうから問題ない。
 プレゼントに花を買い、リザの喜ぶ姿を想像(モウソウ)しながら進むロイの目に、公園が映った。何となく公園の中に目をやると、綺麗な金髪をサイドで一つに束ねた女性―――
「リザ?」
 紛れもない彼女の姿に嬉しくなったが、ここは気付かれないようにそっと近付いて驚かせてやろう。悪戯を思いついた子供のように、リザに近付いていく。一歩ずつ、一歩ずつ。
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