兎文庫

□捨て兎物語
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旅を始めてはや4時間。

そろそろお日様が見え始めて、僕の影ができたころ…

カキン‥

『え…?』

その音とともに、僕は崩れ落ちて、
しかもそこは…

『ご…ごみ収集所…?』
もの凄く焦る。
僕みたいな古びたリュック、完璧ごみに思われて…

『す、棄てられる〜ι!?』

はやく逃げようにも、体は動かない。

時は無情に過ぎ、ごみ収集車がやってきた。
ごみ収集車から降りてきたおじさんの手が伸びてきた。

『ああ、もう僕終わっちゃうのか。まだご主人様にも逢えてないのに。』

なんて諦めていた。

そこに…

「ぼっかーんっっ」

とかいうなんとも間抜けな声がした。
するとおじさんは僕を拾うのを止めた。

『???』

「…ふぁーあ。
なんか…仕事かったるいなぁ。
今日は家に帰ってもうねるかぁ。」

なんて言い出して、ごみ収集車に乗り込み行ってしまった。

『……助かったι』

    ひょこっ

『わぁっっ?!…誰?』

そいつは赤い水玉の三角傘に寸胴な体つきの…

『…キノコ?』

だった。
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