短編集
□恋のテストバトル! 〜前編〜
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[ 白石視点 ]
「……絶頂」
俺は返って来た解答用紙を手に、小さい声でニヤリと笑った。
「……悪いなぁ、綾。今回は俺の勝ちやわ」
5枚の答案用紙を眺めて、俺はふふふと不敵に笑う。
たった今、暗算して出したその数字は、過去最高点数をはるかに上回っていた。
何度計算し直しても、その数字は変わらない。
「あー……、部活ん時が楽しみやなぁ……」
――――少し不安はあるけれど。
「…多分、どうせ俺が後から言う方やし」
アイツの好きな奴が、たとえ俺じゃなくても。
「……後からだったら、なんとでも言えるしな…」
――…とはいうものの。
はぁ、とため息を一つつく。
俺はこの賭けをした事を、今更ながらに後悔していた。
―――多分、綾の好きな奴は、俺じゃないから…
「あーあ……、馬鹿や、俺……。
なんであんな賭けを………」
もう一度、俺は深いため息をついた。
――――綾。
……フラれたら、俺のプライドがキズつくで?
*