短編集

□恋のテストバトル! 〜前編〜
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 [ 綾視点 ]

「……はぁ……」

部活に行く途中の下駄箱の前で、私は後悔のため息をついた。
――――……あの賭け、どうして受けちゃったんだろう……

「……どう考えたって、無謀よねー……」

そんな事を呟いたら、再びため息がもれた。

今、よくよく冷静に考えてみれば……私が片思いしている人物は、この学校のいわゆる「王子様」的な(ていうか王子様)な存在なわけで。


「……死ぬほどモテんだよねー……アイツ」

今日、何度したか分からない大きなため息が、また唇から憂鬱にもれる。

「幼馴染で仲が良いとはいえ、私には無理かなー……」

あきらめの笑みを薄く浮かべ、私はそっと目を閉じた。


事の始りは、三週間以上前のある会話からである――――。





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