Gospels scene

□僕が家に帰った時に
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灰色の空、
見上げた空の色は
僕を憂鬱な気分に陥れた



僕はその空に
問いかけるように
言った





「ボクは何故、この街にいるんだろう?」










問いかけは
灰色の空へ
吸い込まれていった








+++++++++










使徒が来なくなって
一年が経った



最初の頃は
またすぐに来るのではないかという
不安からか、


ネルフ関係者は
厳重な注意を
払っていた






それも
今となっては
過去の話だ





僕たちは
完全にあの時のことは昔話としか
思っていない






人とは、
嫌な記憶を心の外に追いやろうとするらしい




いずれ、
すべての出来事は
「過去」として
くくられるのだろう



しかし…





今ならそれでも
構わなかった





そして、
どうせなら早く
「過去」のものに
して欲しかった





そうすれば、
「警戒体制」が解け


僕は好きな場所へ
行けるのだから









この街の、
灰色の空には
うんざりした





青く、高く、広い
空を見上げてみたかった




「…………僕は何故……この街にいるんだろう…?」












そう考えてるうちに


それは使徒や
エヴァのせいじゃないと


思えるように
なってきた







「……わからない…この街にいる理由が……」








それは命令に従うではなく







街に抱いた
憧れでもなく







過去の傷の
慰めでもなかった










ギターを持った


通りに腰を下ろした

弦を弾けば
心地よい音がした




光の中で
歌声をあげた
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