全短編

□呼び寄せるのは・・・・
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―教室





















「ねぇ、いつも思うんだけどさ。」
「ん?」
「何をや?」


私は毎度のことながら気になることがあったからついに今日聞こうと思って謙也と蔵に話しかけた。
謙也と蔵はこちらを向いて、用件を聞いてきた。


「いつも正門の前で派手にコケてるけどさ・・・・危険じゃない?」


私はまさしく正当なことを言っていると思う。
毎日毎日あんなことしてたら、怪我するよ。


「「はぁ〜。」」
「え゛?そこでタメ息??」


正当なことを言ったはずなのに、私は2人に深い深いタメ息をつかれてしまった。
私の頭の上にはクエッションマークが浮かびまくっている。


「ユエ。自分、全然わかっとらん。」
「は?」
「いくら転校してきたちゅーても、けっこー経っとるやん。まだ覚えてへんのか?」


何がなんだか分からない私に蔵は真剣な顔で“分かってない”と言ってきた。



・・・・はい。全く分からないよっ!!?


蔵の言葉に私は意味が分からず、聞き返えすと次に謙也が呆れ顔で憐れむように私を見て問いかけてきた。



ちょっと、アンタに憐れまれるのはなんか癪・・・・・。


「だから、何が。」
「うちの学校の正門は・・・」
「“笑いの門”言われとるから、何がなんでもやらなあかんのや!!」


私は本題は何なのかをさっさか知りたくて、彼らを急かした。
蔵が途中まで言いかけると謙也が蔵に合わせて続きを興奮ぎみで言ってきた。


「それは知ってるけど・・・私は止めてるんじゃなくて危なくないかって聞いてるの。止めろとは言ってないっての。」
「素人は駄目やな。」
「何がさ。」
(つか、アンタらだってプロじゃないじゃん!!)


今更ながらのことを言われて、私は眉を寄せてしまった。
それに何かを勘違いしてるんだと思い2人に補足説明をしたけど蔵に首を振って否定されてしまった。
私はムッとしながら聞き返してみた。


・・・・心の中では文句を言っていたが。


「お笑いはな・・・・・命懸けへんとあかんのや!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ。」


謙也が言葉を溜めて、力説してきたもんだから、ただ呆然とすることしか出来なかった。


「まぁ、いいや。自分達にとって危なくない訳でしょ?」
「当たり前や!」
「そこら辺は、部活に支障がでぇへん程度にしてるさかい。安心しぃや。」
「なら、いいや。」


謙也に力説されて何も言い返せなくなった私は再確認でもう一度聞いてみた。
謙也が威張って聞いたことに対して肯定して、蔵は私を安心させるように言って私の頭を撫でた。
私は私にとっての謎が解けたから、話を終わらせた。


「ちゅーか、ユエは危ないことしたことあらへんのか?」
「んー・・・危ないか微妙だけど。」
「何かあるん?」


今までの会話で気になったらしい謙也は私に“危険なこと”をしたことないのかと聞いてきた。
私は少し考えて、思い付いたが危ないかと聞かれれば何とも言えないので、口ごもらせたが蔵が更に聞いてきてしまった。


「小さい頃、男子に泥団子を投げられたの。」
「なんやふつーやんけ。」


話をしていたら、まだその先に続きがあるとは知らない謙也が先走って、“危なくない”とつまんなそうに言った。


「それでムカついたから、生きてるザリガニを投げつけたぐらいかな?」
「「・・・・・・・・・・。」」
「あれ?2人もどうしたの??」


私は思い出に浸りながら、最後の落ちを笑顔で言ったら、2人は顔をひきつらせて黙って聞いていた。
黙ってしまった2人が不思議で私は2人にどうしたのかを聞いた。












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