全短編

□君に
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―昼休み






















「やっば!!早くしなきゃ!!」


今は昼休みで私はお弁当を忘れて購買へと急いでいた。


「良かった!おばちゃん!焼きそばパンとメロンパンとヨーグル・・・・」
「お〜い!おばちゃーん!!!焼きそばパンとあんパン、ジャムパン、メロンパン、コーンパン、全部2こずつくれー。」


私はまだ食べ物が残っているのを見て安心し、購買のおばちゃんに欲しい食べ物を言っていたが、誰かの大きな声で掻き消されてしまった。ものすごい量を食べるなと思ってその人物の姿をとらえようとした。













クラスのムードメーカー。

桃城 武。


・・・が私の隣にいたのだ。




因みに私の思い人だったりする。























「はい!お待ち!!」
「サンキュー!!メシメシィ!!!」
「おばちゃん!焼きそばパンとメロンパンとヨーグルトない?」
「あ〜悪いねぇ。さっきの兄ちゃんで焼きそばパンとメロンパンは最後だよ。」


購買のおばちゃんは元気よく彼にたくさんのパンをあげていて、彼も嬉しそうにパンを受け取っていた。私は急いで、もう一度さっきと同じことをおばちゃんに言ってみたら、悲しいことにヨーグルトしかなかった。しかも、それらを持っていった人物が彼だから何とも言えない。


・・・・・・・恨みたいけどね。


「え〜!!」
「ん?お!神凪じゃんか。どうしたんだ?」
「うぅ・・・・・アンタのせいでね、私の昼ごはんがないのよぉー!!バカー!!」


私はおばちゃんの発言に驚いていたら、彼は私の存在に気付いて話し掛けてきた。私はお腹が空いているせいもあり、泣きそうになった。


・・・・・・・・・前言撤回。
恨みを込めて、彼を攻めた。





















「あ〜、運が悪かったなぁ。」
「ヒドイよー。何でそんなに食べちゃうのー。」
「腹に入るんだから仕方ねーな。仕方ねーよ。」


彼は同情した目で私を見た。私は諦めずに彼に向かって愚痴を言ったが、彼には何も効かなかった。


「私のひる゙ごはーん゙。」
「仕方ねーな。おらよ。」
「!!」


私が彼に食べ物をねだるように・・・・正確にはねだっていたんだけど、泣きそうな声で言っていたら、彼は私に食べ物を恵んでくれた。


「いいの?」
「ねだってて、その態度かよ。」
「だって〜。」


恵んでもらってから何故か罪悪感が出てきたので、彼に聞いてみた。彼は眉を潜めて呆れたように私を見た。私は言い訳をしてしまった。


「やるよ。」
「ありがとう!あっ、お金・・・」
「いいって。じゃぁな!」


彼はニカッって笑いながら、肯定してくれた。私もつられて笑いながらお礼を言った。パンの代金を渡そうとしたら、彼にいらないと言われ、彼はそのまま走って何処かへ行ってしまった。私はその後ろ姿を眺めていた。


(優しいなぁ・・・。惚れ直しちゃった。)


彼の優しさに単純にももっと好きになってしまった私だった。



















君に


















惚れやすい私。







《END》







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