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□惚れたもの勝ち
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「一年にすっげえ美人が転校してきたらしいぜ」

と興奮気味に捲し立てるのは隣のクラスの双子の弟、ライル・ディランディだ。
普段は寄り付かない生徒会室にわざわざ走ってやってきたから、何事かと思えば。

「すっげえ美人が転校してきたも何も…」

ここは男子校だ。
相当美人な年上の恋人を持つライルがそう言ってくるのは珍しい。
共学の学校ならニールだって興味津々に口説きに行くところかもしれないが生憎、そんな趣味はない。
男子校だ。そういうことが少なからずあることは知っているし偏見を持つつもりはないが、女性に不自由しないニールにとっては別世界の話だった。

「俺は興味ないね」

そう言って教室の掛けられた時計を見てみるともう8時を回っていた。
8時10分から授業は始まる。
そろそろ教室に戻らなくてはと書類をまとめ始めたニールの腕をつかんだのはやはりライルだった。

「ライル…お前なあ」

「百聞は一見に如かずだろ」

「っておい」

ライルはニールの腕をぐいっと引っ張り駆け出した。
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