恋は盲目

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駅前で待ち合わせをした
していたはずだった
「わり、遅れる」というメールをしても、あいつは何の文句を書いてくるわけでもなく
「まってるね」と、ぴんく色の可愛いにっこりマークまでつけて
ああもう早く会いたくて仕方がないのに
こんな事なら昨日ちょっとでも寝ねーと、とか考えなきゃ良かった
楽しみで寝られなかったのだけれど

おまけに駅に着いたら電車が30分遅れてる?
まじふざけんなよな…

何か俺またかっこわり…



なんて、そうこうしててやっと目的地に着いたと思ったら、
見渡してもあいつはいない
やっべ…約束してた時間の一時間も遅れてる…
流石に怒って帰ったのだろうか
でもあいつはどんなに怒ってたって、こういう時は一言何か言ってから帰るくらい妙なところで常識人だ

周辺をブラブラ歩いてみた
もしかしたら駅近くの川沿いにいるかもしれないし

電話もしてみた
でも何度かけても繋がらない
やっべ、そんな怒った?だよなー…王子失態




「ねえ、さっきのやばくない??」




ヒソリと、どこの誰だかは知らないが
女二人が話しているのを聞いた




「うん、ワンピース着た女の子がさ」
「何か無理やりっぽかったよね…」
「通報した方がいいよねやっぱ…」
「うー…でも何て言えばいーの?」



ワンピース…あいつがワンピースを着て来るなんてちょっと想像できない
けど、そんな、そんなわけないよな
でも不安になって、また電話をした

ツーツー…

何でだ?さっきまではコールしてたのに
電源を切ったのか?
誰かに、切られたのか?


「嘘だろぉっ…!!」


何度かけても繋がらない
嫌な予感ばかりが頭を過ぎる
冷静な判断が出来なくなってくる



「おいっ!!そこの女!!!」

「えっ」
「きゃっ、イケメン」

「さっきの話…、ちょっと聞かせろよ…!」

「え……」








数分後、ベルは全力で走っていた




ツー…ツー…




(まだ繋がらない)

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