恋は盲目

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嫌だ………嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だやだやだやだやだやだ気持ち悪い気持ち悪いやだ嫌だ嫌だ消えたい嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ気持ち悪いやだ消えたい消えたいベル消えたいよ消えたいベルベルベル嫌だ消えたい死にたい死にたいベル会いたくない消えたい死にたい殺してもう殺して殺して嫌だよ嫌だベルお願い

憎たらしい位綺麗な夜空だ
人気のない路上で私は服がはだけてしまったまま蹲っていた

ああ早く帰らなきゃ
親が帰ってくる前に、全部綺麗にしなくちゃ
病院行かなきゃ、身籠ってしまっていたらどうしよう
ああ、早く、帰らなきゃ

蹲ったまま、ピ、と携帯の電源を入れた
あいつらに切られたまま、何の機能も果たさなかった携帯
着信履歴と受信履歴に同じ名前がズラリと並んでいるのを見た

全てが「ベル」




「やだ………」




―――今どこにいんだよ?!
――連絡寄越せよ!
―――ごめんな俺が…
―電話出てくれよ…
―――――どこにいんだよ…


――――幸、無事だよな?



ぽたり、と幸の涙が冷たい路上に落ちた
携帯を握る手を強くした、その瞬間に




〜〜〜〜♪♪



電話が鳴った
それと同時だった

「幸―――――!!!」





ベルの、声
ずっと、待ってた
凄く凄く、息が乱れてて
ベルの声だって分かったけど、ひどく枯れていた

ずっと

ずっと

探してくれてたんだね





「幸……!!」

でもね


〜〜〜〜♪♪





ベルははっとして耳をすませていた
幸の、携帯の着信音が、確かに聞こえたんだ





今は、会いたくないの






だっ、と勢いよく飛び起き、携帯をその場へ置いたまま幸は駆けだした





「幸ッ!」




その後ろ姿を、やっと見つけた後ろ姿を
ベルは追いかけた




















瞬間、時間がゆっくりに感じた


あったかいね


あんな奴らと違って、ベルの腕の中は



幸は暗闇の中、後ろからベルが冷たくなった手で抱きしめてくれた
腰がひどく傷んだから、そのままベルに身体を預けて
でも、顔を見られたくなかったから、私は手で自分の顔を覆い隠した
嗚咽を上げながら、涙でぐしゃぐしゃだったから



「ごめっ…ベル…!………わた…しッ…………!!」

「幸ッ…幸ッ幸!!!
 ごめんッ……俺…!!……守ってやれるって、言ったのに…嘘、ついた…!!
 傷つけて…守ってやれなくて…ごめん…幸…!!!」


私はここで、初めて貴方の涙を見た
私は、男の人が怖かったはずなのに、ベルは、やっぱり怖くなかったよ…
でもね…でもね…それよりも心配な事があるの


「こんな…わた…しでも、
 好きで…いてくれる……?」

「ったりまえだろ……!!
 誰が放すか…ばかやろ……ッ!!」








その時、あの人の顔が浮かんだなんて
嘘だ

これは、あなたの、恨み…なの?

私がベルと恋をした事の、恨みなの…?

だったらお願い






(もう絶対、傷つけねーから)
(私とベルを引き裂いたり、しないで)

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