恋は盲目

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あれから何日が経っただろうか、幸の心はぽっかりと穴が開いたままだ
学校ではフランというあの最悪な人のせいで変な噂が広まるし、ベルには会えない
ほら…やっぱり恋とか、こんなにあっけなく崩れるもので。何よ…たかが他の人と少し、キスした位で
でも…ベルがもし他の女の子とキスしていたら?私は、ショックを受けずにいられただろうか


「無理だ…」


今日もベルは学校に来なかったな
家に何度行っても出てはくれないし、電話も繋がらない
いじっぱり、がんこ…そんなの一番私が分かってるでも…こんなのヤだよ





その次の日だった
久しぶりにベルの姿を校門の前で見た
やっと会えた…!!そう思って、幸は嬉しくて駆け寄ろうとした
駆け寄ろうと…



「あはは!それでねえ?」

「へえ、面白いじゃん」



幸は、自分の表情が強張るのを感じた、きっと今凄い顔をしてると思う
なんで…どうして、頭にはそんな言葉しか浮かばなかった
ずきん、そんなの嘘だ…ずきん、だってベルは…ずきんずきん、心臓が激しく高鳴った
どうして…どうしてそんな、女の子達に一杯囲まれてるの…?

俺は本気で好きになった奴としか一緒にいたくねんだよ
なんて…嘘ばっかり




「でねえ?ベル聞いてよお〜」

「何だよお前ら話尽きねーなwおっ、幸じゃん!おっはよー」

「へっ…」



突然、話しかけられるなんて思っていなくて、変な裏返った声が出てしまった…恥ずかしい



「えーベルうー誰その女ー」

「ししっ教えてホシイ?俺の彼女の幸!」


なんて言って抱きついてくるから、幸は苦笑するしか出来なかった
何だろう…この感じ、こんなのベルじゃない…
ベルの衝撃の告白に彼を取り囲んでいた女子達が一斉に言いたい事を言い始める


「えーー!!彼女いたのお?!」
「しょっくうう!」
「何か結構地味目な子だねー…」
「それ言っちゃ駄目でしょークスッ」

「大丈夫だっつの、お前らも可愛いしさ!」

「ベルっ…?何言って…」


ベルは普段は絶対にこんな言わない…
何かがおかしかった。明らかに、何かが違っていた
でもベルが楽しそうに笑っていたから、幸は何も言えなかった

その日の放課後、幸はベルの教室へと向かう
一緒に帰って話がしたかったから…でも、そこで幸は信じられないものを見た


「きゃははっやだーベルう…」

「いいじゃん、あそぼーぜ?」


なんて言いながら、顔だけしか知らない女の子と、キスをしていた
その瞬間、初めてベルを疑った


「……っ嘘つき!」


声や足音を殺して、その場を走り去った
嫌だ…嫌だ…信じたくないよ…嘘つき、………ベルの、嘘つき!!





「だから言ったでしょー」





ぐっ、と誰かに腕を引っ張られた
そして、その誰かの胸の中に…優しく抱きしめられるのを感じた
それが誰かなんて、すぐに分かった


「やっ…離してよ!」

「あれは王子様なんかじゃなくて、堕王子ですー」

「何よ!!元はと言えば貴方があんな事をするから、ベルが変になったんじゃなっ…!」


その言葉は、口を塞がれた事によって消えた
嫌悪感でいっぱい、幸はフランを着き飛ばそうとしたが、所詮女と男の力の差
敵うはずがなかった



「ミーは、あの堕王子の親友ですー聞いてませんかー?」

「はっ…?」

「親友のミーだから知ってる事がありますー。堕王子は、貴方と付き合い始めた頃から女遊びが激しかったんですよー」

「な、何…言って……」

「どうせあの男の事ですしー、俺が守ってやるよーとか、お前だけだからーとか、ほざいていたんでしょー?」
 




「堕王子は家柄なんて普通で、長い間戻らなきゃならない理由なんて無かったんですよー。ただ地元の彼女達が煩いからって…ミーに愚痴ってきましたからー
 そんな貴方と堕王子を見ていたら、ミーは黙ってられませんでしたー。だからキスしましたー、堕王子が一日早く戻って貴方を驚かそうとしてた、正にその時にー」



疑いたくなんてなかったのに
一気に崩れ落ちた信頼、だからってフランを許したりなんかしたくなかったけれど
でも、もし彼の今の言葉が無かったら、死にたがりになってしまっていたかもしれない
ポタ。幸の頬に涙が伝った。フランは再び幸を優しく抱きしめた
辛いのなら、泣けばいいんですよー。と





(今度こそミーが守ってあげますからー)
(私は、どうすればいいの)

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