夢晴れ

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「こんにちは神童先輩!!大好きです神童先輩!!今日も超かっこいいですねマジもうやばいですね!!あっ、今日のお昼は神童家専属シェフのお手製ですか?!大きなお弁当抱えてるの見ました★本日の傘の柄はシンプルに黒☆機嫌が悪い時はいつもソレですよね何かありました??そうそうこの間…あはっそれから……」


中学二年になった春だ。
何故こんな目にあわなくてはならない、もう全てが意味不明である。

何なんだ。意味分からない上にストーカー紛いな事されている。いやもはやストーカーの域越えていると思う。
携帯ならまだ分かる、友達を通じて教えてもらった!とかあるから。
でも何故家の電話番号まで知っていた。何の心辺りもない。
ましてや女子と関わろうなんてしていなかったし。


「……はあ」
「あっ神童先輩ったらため息なんてついちゃって★やっぱり何か悩み事ですか?悩み事があるなら紙に書くといいらしいですよ日記でもアリらしいです!神童先輩は日記とか書いてます?!私は書いてないです!続きませんから☆」



彼女のマシンガントークを聞き初めて一週間。正直言うと、いい加減うんざりだ。
サッカーをやっている時でさえ山菜とはまた違った視線を感じるし。こんな彼女の行動で部活が気持ち良く出来ない。

これは相当きている。



{#name1#−!}

「あっ!ごめんなさいセンパイ!お友達が読んでるのですっごく、す〜っごく、もう天地がひっくり返る程名残惜しいんですけど行きますね!!また放課後も一緒に登校しましょう大好きです!もう超大好きです先輩!!さっよならーー!!」


ぶんぶん、とまるで幼い子供の様に裏の無い笑みで手と言うより腕を大きく振って彼女は駆けていった。
くるり、と彼女のウサギ柄のピンクの傘が回ったのが目に入った。子供っぽくて、正に彼女の様だ、…名前も知らなかった。
でも先ほど彼女の友人がな名を呼んでいたのを聞いた。

#name1#と言うのか。…まあ俺には関係の無い事だが。

一話


学校に着くとひどい疲労感を感じた。
#name1#のせいだ、と思った。気を抜いていたら不意に自分の下駄箱を開くとドサドサッといつも大量のアレが流れ込んでくる、しまった
可愛かったり綺麗だったりする封筒は全てが俺宛てのラブレターらしい。
毎日毎日…一年生の時から絶えないラブレター。
何かしら部活のキャプテンをしてるとモテるとよく聞いたが、噂以上だな。それは嬉しい事なのだが一つ一つ断るのは結構骨がいるし大変である。
彼氏にしたい男子NO.1とか意味の分からない肩書まで付けられて
女子は誰もが近づいてこなかった、恐れ多いとか独り占めは駄目だとか。
おかげでこの大量のラブレター以外平穏に過ごせていた、…はずなんだが。

だからストレートに、あんなに積極的な彼女に対してどう反応していいのか分からない。
気になる?何だか少し違う。

ピンポンパンポン♪
【皆さんおはようございまーす☆朝の放送の時間です☆】


ぎく、嫌な予感がした、同時に冷や汗が。
聞こえてきたのは、間違いなく彼女の声だ。
こんな朝の放送なんてこの学校には無かったはず――…。


【私は一年二組の#name2##name1#でっす!!三年四組の神童先輩が大好きで――…ってちょ!何するんですか!!】

【何をやってるんだ!】

【ちょっ先生!私の愛の告白Timeを邪魔しないで下さい!!ああああ神童先輩大好きですマジ!!ちょっやめろやオラ!!】


バタバタガラガラッガシャンッ
ブチっ
放送のスイッチが切られた。
しいん、と学校全体が静まり返った。


「何やってるんだあの馬鹿…!!//」


周りの視線が痛かった。
だから俺はそそくさと自分の教室へと急ぐのだった。




×××stkな彼女



ありえない…
 

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