蛙王子

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フラン


今時ありえないビン底眼鏡で誰とも話そうとしないし陰気で口を開いたかと思えば
「話しかけないでくださいー、ウザイですー」
まさかの毒舌

あの人は学校の中で誰よりも嫌われていると思う
でも、皆があの人を嫌う理由が分からない

私から見たらあの人は、自分から人を遠ざけるようにしてる
誰にも干渉しないように、孤独なフリをして

でも私は、あの人が本当は優しい人だって事を知ってる



綺麗だけど小さく弱々しい花を、日当たりが悪いと思ったのか花壇に植えかえているのを見た
あの人の周りには、何だか光があって
自然に小鳥が集まったりする

まるであの翠色の透明感のある髪に引き寄せられ
微笑む口元に癒される様に



仲良くなりたいと思った、純粋に
あの人を…知りたいと思った



単なる好奇心だったのかもしれないけれど





「フランくん」

「…………」



昼休み、さちは窓際の一番後ろと言う絶好の席に座るフランに話しかけてみた
生憎彼は窓の外の雲を呆と見つめていた

スルーですか…!めげない!



「ねえ、フランくん」

「……………………………なんですかー」


再度チャレンジ
顔は一切こちらに向ける事なく、明らかに授業であてられた時とは異なる低い声で返事をしてきた

ちょ、ちょっと怖いではないですか
心折れそう…


「えっと、特に用はないんだけど」

「出来れば話しかけないで欲しいんですがーウザイですよ」

「ご、ごめん……」

「他の奴らと仲良く友達ごっこでもしててくださいー」


キツい言葉、皆から嫌われているのはこれが原因なのか…
てか、語尾は?のばそうよ


それ以上何を話してもフランは無反応だった
ついには机に伏せて寝始めたので諦めざるを得なかった




でも気になったよ
フランくんのポッケから出てたケータイのストラップ

黒いカエルだった







カエル
(明日も話しかけてみよう)
【ミーに話しかけてくる物好きもいるんですねー】





ハジマリ.    

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