蛙王子

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あの日から話しかけているけど相手にされない
困った…、でもどんどん膨らむこの感情は

一体何だろう?



また見た。この前の雨の日だった
河原の傍に捨てられた犬に自分が濡れるのを気にしないで傘を置いて帰っていく彼の後ろ姿を
少女マンガかよ、と心の中でツッコんだ

でもそのベタな展開に胸が締め付けられるくらい、どうしようもなくフランくんの事が頭に渦巻く

よく、分からなかった






今日は美化委員の仕事があったのでいつもより早く起きたさち
といっても、毎日継続して自主的にやっている事があるのだが

校長先生以外誰もやらない、花壇の手入れ

理由は
フランくんが植えた、あの綺麗な花があるから

元々何かの世話をしたり掃除したりするのは好き、それに何だか嬉しいし



「いつもより30分も早い…」



何でそんなに張り切ってるのか分からないけど
この時間は、私の中でけっこう大事だ



「…あれ?」



見間違いだろうか
でも花壇にあんな透明感のあるでかい植物があった記憶がない
あれは何だろうか
花壇の前で蹲るようにして座っている、あの人は




「――…ふらん、くん?」

「っ……」



思わず気配を潜めて近づいたため突然話しかけられたフランは飛び退くように立ちあがった
さちと目が合い数秒



「――…卯月さん…」




偶然の出来事、なのだろうか






美化委員
(やってて良かった)




バッタリ.

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