蛙王子

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ちょっと、驚いた
いやかなり、驚いた、ああもう何だよ何だよ
名前を呼んでくれたのは、初めてだねフランくん!
ビン底眼鏡が今日も輝いてるネ☆

一間置いて


「はい、卯月です!おはようフランくん!」



何だか無性に嬉しくて
満面の笑みを送れば彼は顔をそむけた

やはりフレンドリーさは逆効果か…



「何してたの?」


何だか、こんな朝早くにドキドキする

そう問えばフランはギロリとさちを睨みつけたが
ここで目を逸らしたら負けだと思って
じっとフランを微笑んで見つめた

するとまた目を逸らされた
…傷つくなあ、そんなに嫌われてるのかな



「…虫とかついていたら、……嫌なのでー…」


――お

さちは初めてまともな返事が返ってきたのでちょっとばかし感動した
感情のパラメーターがMaxを越えた気分だ!
それくらい嬉しいかもしれない
今日もビン底眼鏡が輝い(以下略)



「ここの花壇、校長先生以外誰も手入れしてなくて、
 でも校長先生も忙しいから中々でね
 でも今は結構綺麗でしょ?
 私の独学だけど…フランくんのその綺麗な花が凄く好きで
 他のみんなも、その子が一緒で喜んでるよ」



長々と話してしまってフランが呆然としてた
彼の頭の上に疑問符が見えるようだ

しばらく沈黙が続いて、どうしようかと少し焦り出した時、
フランから口を開いた



「…知ってますー、貴方が一人で頑張っていた事
 ミーの花の世話も一緒にしててくれた事

 …いつも、見てましたからー」



へー、見てたん…え?!見てた?!
さらっと凄い事言ってくれちゃったよ!
私、見られてた?!



「え、その…フラ…」

「貴方は、優しい人ですね」

「い、いやそんな事は…」

「こんな周りから見たら明らかにウザくて
 蛙みたいな醜いミーに構うくらいですからー」



え?


カエル…みたいで…、醜い?



「え、誰が」

「ミーがですよ、話聞いてましたー?馬鹿ですかー?」



出た毒舌

てか一人称ミーかよ!
むしろそこ着目点です!
いやいやいやいやそんな事もありませんけど!

さちは焦った表情を隠せずに首を手を上下左右にぶんぶん振った



「ち、違うよ!
 私、ずっと見てたもん!フランくんはすっごく優しい人!
 私なんか、そんな、優しくなんて
 毎日フランくんにうっとうしいくらい話しかけて、馬鹿だよね…ごめんね」



そのさちの様子を見て可笑しかったのか
フランのめったに変わらない表情がほころんだ



「あっ…!笑ったひどい!」

「おっかしーです、お人よしですしー…
 …花の世話、いつもありがとうございますー
 明日もこの時間に、来ますー」






どきん





お人よし?
(それでフランくんと仲良くなれたなら)
(いいと思った)





イッポ.

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