蛙王子

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一人の人間に二人の人格が混じる。これは所謂二重人格と言うものだろうか。だけど姿形さえ何もかも正反対なんだ。この二人は。
次の日、目を腫らした状態で学校へと来た。泣いて、眠れなくて。最悪な気分だった。


「だから俺はもう遊ばねーって」


ベルだ。振り向けばもう見慣れてしまった悔しいくらい綺麗な金髪をした彼。その周りにはいつものようにわらわらと女の子が一杯だったのだけれど。


「えぇーっ何でよベルゥ」
「明日はプリ行こっつったじゃん」
「彼女いるんじゃないんでしょオ?」
「いーじゃんっ遊ぼおよ!」


「わりーけど」



「好きな奴、出来たから」


そんな、馬鹿だ。こんな事。こんな事でそんな、違うもん。


「(ホッとしたなんて。…ドキドキ、したなんて)」


わたしは、何がしたいのだろうか。フラン君に会いたい。そんなの当たり前なのに。
※だってこれはフラン寄り連載だよ!


「さちッ!」


馬鹿じゃないの。そんな満面の笑みでこっちに駆けてこなくたって。そんな大声で呼ばなくたって聞こえてるよ。



「ベル」



自然と笑ってた。おかしくて。私はなんて冷たい人なんだろうって思った。だってこんなにも簡単にベルを受け入れて、でも、それでもフラン君が好きだなんて。最低、可笑しい。
嘲笑いにも似たものを自分自身に向けた。こんな仮初の幸せなんかに浸って、結局何がしたいんだろうって。ベルと一緒にいる、それだけで良かったんじゃないのって。


「俺、考えてたんだ」

「何を?」

「俺自身が幸せになる方法ってヤツ」

「何ソレすっごく自己中」

「言っとけ」


くすくすと笑いながらふとベルを見ると、吃驚した。なんで…。
何でそんな顔してるの。呟こうとした。だがそれはベルの言葉によって掻き消される事となった。


「簡単な答えだった。外に出れたって、何も楽しい事ねーって」

「…は?」


彼の口から出た言葉は、何と言うか。あまりにも馬鹿馬鹿しくて。軽い。何よそれ。だって今のベルの言葉を受け止めてしまったら、今までの私達は一体何だったんだろう、と考えずにはいられないじゃないか。もう一度言うけど、馬鹿じゃないの。


「だから俺は、アイツの中で眠り続けたままで良かった。アイツを通して、お前の笑顔を見ている方が、よっぽど良かった」

「…ベル、さっきから変だよ。大体、フラン君の中にいた時私の事なんて見えてないんじゃないの」


さちの言葉に首を横に振るベル。段々イライラしてきた。
確かに顔なんて見えてなかったけど、優しい声が聞こえた。フランと楽しそうに、花の話をしている時が一番。俺にとっても心地よかった。それだけで良かったんだって。今更気付いた、だから。


「だから、もういーやーって。俺、お前とちょっとでも今、こうして一緒に笑えて、良かった。だからもう」




終わりにしよう
(金髪のナルシスト王子は)
(また唇を重ねてきた)


今度は、愛を込めて

その瞬間、白い靄が見えたのは

気のせいじゃなかったと思う



カッテ.

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