化学結合

□1
1ページ/1ページ










「あ、受かった」



桜が咲くほんの手前
まだ傾いている太陽の優しい日差しに染めた茶髪が輝いた
耳にもきらりと光るゴールドのピアス、指にはシンプルなデザインのシルバーリングがいくつもはめられている
制服のリボンはダサくてつけてないしスカートは三回折ってカッターシャツのボタンは上からみっつほど開けている
その間からもジャラジャラした装飾品が目立っていた


これがアタシのファッションだ


英語が撃沈だったため絶対自分の番号なんてないだろうなと半ば諦めた面持ちで合格発表に臨んだ
夢じゃないのかと頬をつねったら痛かった




「うん夢じゃない」






1859





確かにアタシの番号がある!!
つーかこの受験番号ウケるんだけど!
かっこわらいなんだけど!

今まで心の内に秘めていたちょっとの不安と安堵感が一気に込み上げて


「・・・・・・・・・うおオォーーー!!!受かったァアアア」


周りの視線など気にせずにその場で跳びはねた
滑り止めの学校が散々だったためもう望みがここしか無かったけれど
校則違反の塊みたいなアタシが何を思ったのか国立の難関高を受験してしまい
あーあ留年とか嫌だしダルいしダサいしそのまま就職かとか考えてたのにまじラッキー



「よっしゃこれで働かなくて済む」

「お前それ主旨ズレてっぞ」


よく聞き覚えのある声がした
中学の時散々馬鹿にしてた奴の声な気がする
スルー、ここはスルー


「でも授業だりーな・・・」

「聞けよ」

「あー?」


振り返れば銀髪美形のタコヘッド「誰がタコヘッドだ誰が」

「何故バレた」

「声に出てんだよバーーーカ」


マジか
もうちょっと心を鍛える必要があるようだ



「つーか何でここにいんだよ忠犬!十代目十代目いってたわんころが!」

「うるせー!俺の勝手だろ!!十代目には十代目の人生があんだ、俺が邪魔するわけにはいけねー」

「今更かよ」


ふふん、と頬を染めながら得意げに言う
何も自慢することじゃないよ、それからきしょい


「つーか隼人もここ受けたんだ、結果は?」

「全教科満点、新入生代表ヨユー」

「ハゲればいいよ」





言い合いになった
あたし達にとってただの口論であったとしても
周りから見たら殴って襲いかかる様な気迫があったらしい
後で誰かに聞いた事

そんな二人を陰でギラギラと獣の様な目で見つめる目がふたつ
思い知ることになる、ああ学校選び間違えたって


お願いだから獄寺なんかと同じクラスになんてなりたくない











が咲く頃
(こんな奴との高校生活なんて認めない)
(言ってろ、俺だってお断りだ)
(ハゲろ)







   
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ