化学結合

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新しい制服に手を通し、自分の納得のいくように着崩しかばんを手にばたばたと家を出た

まだ早い時間だが、どうしても早く知りたい事がある

お願いです、神様

今日だけあんたの存在を信じて拝んであげるから
私の切なる想いを受け止めて叶えてください






















「「げっ」」


二人の声が重なった
マジかよ、絶対夢だコレ
もう神様とか信じてやんないし拝みもしない
そうしたのは今日が初めてだったのだけれど


「隼人」

「んだよ」


あたしは拳を握りしめた
そして満面の笑みで獄寺を見る
不意打ちすぎるそのニコの笑顔に獄寺は一瞬怯み頬を染めた

だがそれは次の一声で無きものとなった


「殴っていい?」

「何でだよ!!!」


獄寺はニコからの殺気を感じ思わず身構える
くそっ、何か不愉快だ!!
二人の周辺が吹雪に包まれる


「痛くないよ、だってコレ夢だし」

「じゃあ何だその殺意の籠った拳は
 人で試そうとするな、自分でやれ」

「はぁ?何言ってんの?
 そんな事するわけねーじゃん馬鹿?」

「馬鹿に馬鹿なんて言われたくねーよ」

「馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ!!」

「てめーは小学生か!」


まさかそんな!
華の高校生活を夢見てたあたしのあははうふふを返せ!!
隼人と同じクラスなんてギャグ突っ走りじゃねーか!!

ニコは深くため息をついた



「…そんなに嫌かよ」

「…は?」


蚊の鳴く様な声で獄寺が言った言葉はニコの耳には届かなかった


「…っ、だから!そんなに俺と同じクラスなのが嫌かよ!!っつってんだよ」


赤面しながら俯いた獄寺
耳まで真っ赤だ、…可愛いかもしれない

声張り上げて、ばっかみたい



「……はは、別に!
 友達いた方が安心だしー
 そろそろ入学式始まるね、行こーよ」


にこっと笑った
その笑顔に何かもうどうでもいいかな、何て思ったり
獄寺は小声で呟いた


「…友達か」

「ん?何か言った?」

「別に」


ふうん?と疑問符を浮かべながらにやりとニコは笑う
するとすぐに体育館まで競争な!と全力で走り出した


「あ!ずりぃ!!フライングっつーんだよソレ!!」

「ほほほほ何の事かしら!か弱い乙女にハンデはつきものでなくって…って速!!隼人速!!」

「イタリアのチーターとは俺の事だぜ」

「意味不ゥウウウぎゃあああ来んなあああ!!」





後ろから追いかけられるこの恐怖は
何者にもかえがたいと知った入学式前






クラス
(俺の勝ち、帰り何か奢れよ)
(は?何言ってんの、競争とかマジあんた子供?ウケるw)
(てめーから始めたんだろうが!!!)




   

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