オリジナル
□星屑
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ザザッ…
雑音が響いた
ザザッ…せい…ザザッー…し…
その中に
擦れた様な
声
か細い声を拾うのは小さなマイク
個室、だったその部屋はもう屋根が無い状態のただ石に囲われた空間
ザザッ…せ…ぞん…しゃ…ザザザー…
雑音は絶え間なく響く
息が、凍りそうな夜だった
スピーカーを通して、その声は静まった大都市に響く
高層ビルだったであろう残骸が無惨にも大きな破片となってそこら中に転がっている
この光景を一言で表すならすなわち、‘無’だ
全てを飲み込んだ、あの星
恐怖が身を包んだ
唇は青くなり身体全体に鳥肌が立ったような感覚
自然と震える声
この寒さだけでない、不安と絶望が入り交じり、全てが‘無’に変化したこの世界の、空虚感からだった
乾いた唇からはもう擦れた声も聞こえない
ひゅうひゅうと虚しく空気が漏れる音だけが耳に入った
もう駄目だ、耐えられない
「誰でもいい…ッ誰か…」
そう呼ぶ声も、もはや枯れ果てた
目に入るのは草木一本も生えない鉄やコンクリートの塊
温かな肌色は、もはや白く寒さで赤くなってしまった自分の手を見つめるだけでしか捕えられなくなってしまった
こうして呼びかけて一体どのくらいの時間が経過したのか、
一人、空虚感漂うその場に佇んでいる青年は途方に暮れた
涙も枯れてしまった
恐怖、不安、絶望に駆られ、それに耐えながら、青年は返事の期待出来ない呼びかけを延々と続けた
誰でも
何でも
虫一匹でもいい
嗚呼誰か
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