話
□空、或いは。
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暑い、暑い、暑い。なんなんだドラえもん、俺を弄んで何が楽しい。秘密道具に振り回されるのび太が目に浮かんだ。
「…空になんか行きたくねーよ!」
持て余した熱を、大声張り上げて発散させた。もう飛びたいなどとは微塵も思わない。振り回されても叶わなくても「行くな」の一言があるなら此処にいたい。
けれど、いつか「行ってしまえ」と言われたならば、その強大な理由を携えて俺は四の五の言わずに溶けてしまおう。
坂田が体を起こした。相変わらず何を考えているかわからない目が俺を捉える。吹っ切れた俺は正面から見返してやった。口元に笑みを浮かべる余裕すら生まれていた。
「ファミレスにでも行って、涼むか」
誘いの言葉を口にすると、坂田は少し意外そうな顔をして、それでもすぐに頷いた。
終
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