□メゾン半刻
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「んー…新八ィ?」

「違ェけど、ちょっと布団借りるぜ」

「おーかえりィィィ」

「はァ!?待て!違うつってんだろォが!」

端から転がってきて抱き付いた男に小声で怒鳴る。
俺の胸に顔を埋める男の髪には覚えがあった。豆電球の灯りでぼんやりと輝くこの天然パーマは、坂田だ。
よりによってこんな面倒な奴に当たるとは。

つーかこいつと志村付き合ってるってことか?そんでもってダブルベッド?そして俺、もしや上手いこと身代わりにされた?

「放せ!俺は組み敷かれる趣味はねェ!」

「新八ーちゅー」

完全に寝惚けた坂田は俺の言葉を全く理解しておらず、あろうことかキスをしようと迫ってくる。
つーかなんか硬いもんが当たってね…?
気持ち悪さに鳥肌がたった。
全力ではね除けようとするもびくともしない。何でこの馬鹿は寝惚けてるくせにこんなに力があるんだ。

大声で怒鳴ってやりたいが、万が一隣室の奴が苦情を言いに乗り込んできたらと考えると、躊躇してしまう。
こいつとダブルベッドで寝てただなんて噂がたてば、恥ずかしすぎてもうここには住んでいられない。

なんとか自力で坂田の猛攻から逃れようと身を捩る。
こんなことなら素直に土方襲っときゃ良かった…。志村め、覚えてやがれ。




「…っ!!!!」

一瞬の隙をつかれた。

強く閉ざした唇に、生暖かい感触。
荒い鼻息がかかり、ついに頭の中で何かが切れた。

「ありえねェだろォがァァァ!」

叫び、頭突きを喰らわせ、力が緩んだところでぶっ飛ばした。坂田はベッドから落ちて何やら呻いた。

隣の奴に怒鳴り込まれる前に、急いでジーパンだけ履いて部屋を出た。
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